あなたが主人公 4(受精)・5(性交)

           
1 ねらい
生殖に結び付かない交尾や性交があることを知る。

 人間の性交の多義性への気付きを持つことができる。

2 準備
 交尾・交接・抱接等の絵・写真、女性の内性器の絵、ペニスの絵、紙芝居「精子の旅」、ワークシート

3 展開
学習活動 ・ 内容 指 導 上 の 留 意 点
1 前時の学習を想起する。
・体内受精
・体外受精
○交尾や包接、交接、性交等の絵や写真を提示し、それぞれの暮らしぶりに合った動物の生殖行動の様子や、大人になれない個体の存在を想起することができるようにする。
2 生殖に結び付かない交尾や性交があることを知る。
・ヒトの受精
(発)交尾(性交)すれば必ず妊娠するのかな?
○紙芝居「精子の旅」を読み聞かせ、ヒトの受精の様子を示す。
○全ての性交が受精に結びつくのではないことを話すと同時に、初めての性交や1度だけの性交、射精しない性交でも受精する可能性があることを確認する。
3 人間の性交について考える。
・親とのふれあい
・友達とのふれあい
・同性や異性の相手とのふれあい
・性交自体の快感
・粘膜の感覚・分泌液
・皮膚の感覚
・強制(暴力)や支配の性交
・売買の性交

○頭をなでられたり頬ずりされた経験、指切りげんまんした経験、友達と手をつないだり肩を組んだりした経験等を発表するよう促す。
○からだでふれあった時の気持ちを述べ合うことを通して、人間の性交が生殖のためだけでなく、相手とのふれあいを求める気持ちの延長上にもあることに気付くようにする。
○性交はとても親しく愛情を感じ合い、 気持ちが興奮する行為となり得る一方で、強制(暴力)や支配の性交、売買される性交等の存在についても触れ、人間の性交の危険性にも気付くようにする。
○自分の心とからだの主人公は紛れもなく自分自身であり、自分の性行動は自分で考え決定すべきものだということを再度伝える。
4 本時の感想を書く。 ○本時の感想や、性交についてもっと知りたいこと、聞きたいことをワークシートに書くよう指示する。

4 子供の反応
<受精>
・受精の仕組みは、すごくよくできてるなと思った。
・受精したら、精子はなんでしっぽを切り落とすのか不思議。
・おじいちゃんやおばあちゃんだって、生まれる前はあんなだったのかと思った。
・兄弟でもそっくりにはならないわけが分かった。
・卵子のまわりの膜が破れなかったらどうなるのかな。
・卵子の膜をとかすなんてすごい。
・精子は10分で3センチしか進まないのですごく疲れると思う。
・あんなにたくさん精子がいるのに、みんなだめになるか、最後は1匹だけになるのでびっくりした。
・あんなにたくさん精子や卵子がいるのに、1人か2人しか産まれないのでびっくりした。
・卵子と精子からヒトになるのはすごいと思った。
・精子が自分で泳いでいくなんてすごい。
・精子はあんなにちっこいのに、よくあれだけがんばるな。えらい。
・精子も卵子もちょっとしか生き残れないから大変だ。
・酸性で狭い所がよく通れるな。
・迷子の精子が吸収されるなんて知らなかった。
・双子のことが分かった。
・知らないことがよく分かった。

<性交>
・性交はしたくないけど、子供はほしい。(女児数名)
・性交するとペニスが痛くないのか。(男児)
・服を着てても勃起はするのかな?(女児)
・みんなやってきたことが分かった。
・私が生まれる時も、あんなだったのかなあ。からだって複雑だと思った。
・人間はいろいろな体勢でも性交ができるなんて思わなかった。
・動物はオスが上なのに、なぜ人はどっちが上でもいいのだろうか。
・人間も動物と同じことをするのが分かった。
・精子は手では渡せない。
・愛し合わなくても性交はできると分かったけど、大好きな相手だけとしたい。
・一生ひとりの人と結婚していたい。
・将来は友達と暮らしたい。
・自分では子供を産まずに育てたい。
・自分の決めた人を大切にしたい。
・性交するのは恥ずかしいと思う。
・心から好きな人が見つかるといいな。

・やさしくて家事のよくできる人と結婚したい。(女児)
・やさしくて美人な人と結婚したい。(男児)

5 授業を終えて
・本時の感想で、”受精には感動した。子供もほしいが、性交はしたくない”という意見が数名あったのが少し気がかりだった。とは言っても、かつて私の女友達にもそう言っていた子はたくさんいたし、性交の具体的なイメージが持てないこの時期の子供にとっては当然の反応なのかもしれない。ただ、豊かな性交を志向できない子供たちが、援助交際などの自虐的な性行動に陥りやすいと私は思うので、自分の心とからだへの自尊感情を高め、豊かな性行動を志向できるだけの情報を与える(学習を保障する)必要性は強く感じている。

・生殖の性だけを扱うのでは人間の性交を学習したことにはならないし、現代日本の情報社会を生きる子供の現実にも合わないと思う。そのため本時では、ふれあいの性、快楽の性、売買される性等についても触れてみた(活動3)。するとこの時、ある女児から、以前道徳で扱った「こどもの権利を買わないで」(自由国民社 大久保真紀 文)の本をもう1度読んでほしいという申し出があり、休み時間に全員に読み聞かせることとなった。以前学習した時よりも、主人公の置かれた状況がよく理解できたようで、どの子も「分かった〜。」「そうか〜。」などの言葉を発していた。また口々に、「外国に行って幼い子供の性を買う大人を、絶対に許せない」、「日本人もそんなことをしているのか」等々、憤りの声をあげていた。

・本時で、子供がほしくないカップルは、子供ができたらどうするのかという質問があったので、避妊について話したところ、「ほー」っと感嘆(?)の声が上がった。納得すると同時に人間の工夫に感心もしたようだった。

・自分の性行動を自分自身の力で決める力を養うのが、性教育で最も重要なねらいだと思う。社会の現実を覆い隠して知らせないようにするのではなく、事実を直視し、目をそらさずに共に考え合うこと、自分はどうあるべきかという自分なりの真実を追求していくことが、我々教師にとっても欠かすことのできない大切な作業なのだと思う。これからも、子供と共に学び続ける教師でいたいし、子供たちに胸を張って伝えられる真実を残せる自分でありたい。


* 前時=あなたが主人公3(様々な受精)・・の子供の反応は、こちら↓ (^o^)

・たくさんの動物たちが自分の子孫を残そうと必死で交尾してるんだなと思った。だけどその方法も様々で、自分の交尾の仕方をやりとげて上手に子孫を残してるのがすごいと思った。
・猫のペニスにトゲがあることと、かみつくことがびっくりした。
・うちの猫は交尾の時、メスをかむけど、よだれがいっぱい出て、拭いても拭いても出てくる。
・ヘビのペニスが2つもあって、ヘビって不思議な生き物と思った。
・サメは卵子に精子をかけると思っていたけど、交尾していることが分かった。
・カエルは交尾じゃなくお腹を押しているだけだと分かった。
・カエルは10メートルものトンネルを作ってすごい。
・カタツムリは精子も卵子もあるからびっくりした。
・クモは精包をハイってパスしてあげるのでびっくりした。
・交尾して死ぬ魚は、交尾に命をかけてると思う。
・動物にこんな秘密がかくされているとは知らなかった。
・水の中は冷たいのに、なんで温めなくていいか知りたい。
・メダカ以外の動物も交尾の時間は、朝か昼か夜か決まっているのだろうか。
・いろいろな動物の交尾の仕方が知れてよかった。
・動物は子孫を残すために工夫している。
・動物も交尾をするなんて思わなかった。
・大人になれない赤ちゃんがものすごくたくさんいて、かわいそうだった。
・うちの犬に交尾(?)されそうになった。
・私の犬は、避妊手術をして精巣を取ったのに、メスを見ると追いかける。
・うちの猫も大人になったら交尾するのかな?

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