人物の生き方を考えよう  海のいのち  (6年:国語科)


ね が い
 人間の成長には、周囲の人の存在や環境、出来事が大きくかかわってくることに気付かせたい。そして人との関わり方や自分の在り方を見つめ直すきっかけとさせたい。
 

児童の実態
 本学級の児童(女子12名、男子12名)は、これまでに「風切るつばさ」「ヒロシマのうた」「宮沢賢治」などの作品において、登場人物の言葉や行動を根拠としながら主人公の心情の変化を読み取る学習をしてきている。しかし、作品全体を見通してその生き方を想像したり、情景描写や場面と場面の関係性を考えて作品の主題に迫る読みをしたりした経験は、まだ十分とは言えない。
 
 また、自分の考えを相手に伝える際に、相手意識をしっかりもち、内容や順序を整理したり適切な言葉を選んで伝えたりできる児童は少数であり、自他の考えを比較したり関連付けたりすることが苦手な児童も少なくない。

指導の立場
 本教材は、少年太一が父や恩師の死を乗り越えて村一番の漁師に成長する物語であり、自然との共生を主題としている。六つの場面は時間の流れに沿って構成されていて捉えやすく、簡潔な文体の中に、生の矛盾に気付き葛藤し、それらと折り合いをつけていく太一の生き方が描かれている。
 
 読者は、父も与吉じいさもクエも、そして太一自身も「海のいのち」であることや、皆、海に生かされていること、そして、海で生きていこうとする若い太一の人間的な成長にも気付き共感するであろう。卒業という大きな転機を控えた児童にとって、身近な人々と我が身に置き換えて考えたり、自然と共に生きることの意義を考えたりすることのできる恰好の教材と言える。

 指導に当たっては、次の諸点に留意したい。
 読み取りにおいては、心情や情景描写・会話・繰り返される言葉・色・比喩など、表現の細部に注意して読むよう仕向けたい。また太一の心情等について詳しく書かれていない部分では、物語全体や前後の文を基に考えさせていくことで、「いのち」のつながり、自然との共存、自分の存在の意味等についての気付きが持てるよう仕向けたい。
 グループでの話合いを積極的に取り入れることで、一人ひとりの話す力・聞く力を伸ばし、学び合う楽しさと大切さを実感させたい。また、友達の考えと自分の考えを比べながら聞かせたり、聞いたことによって自らの考えを修正させたりして、考えや意見が深まるよう導きたい。
 父や与吉じいさが太一に与えた影響を考えさせる発問により、身近な人々との関わりがいかに太一を成長させたかということや、太一もまたその影響を母や子供達に与えながら生きているということ、葛藤を乗り越えて太一の今があるということに気付かせたい。そしてこれを児童自身に置き換えて考えさせることで、今後の人生に希望と期待が持てるよう、言葉がけを工夫したい。
 物語の題名や、冒頭から貫かれている「必要な分だけあれば生きていける」という作者のメッセージに着目させ、サスティナブル・ユースについて考えたり、大量消費の生活と対比したりして、自分の在り方を考える契機としたい。
 

目 標
○ 表現の細部に注意して、太一の成長の姿を読み取り、主題について考える。【読む】

○ 話の組み立てを工夫しながら、考えたことや自分の意図がわかるよう適切な言葉づかいで話すと共に、話し手の意図を考えながら話を聞く。【話す・聞く】

指導計画(全12時間)
 
学 習 活 動
 全文を通読し、初発の感想と、みんなで考えてみたいことを書く。
 学習課題を話し合い、読み進める計画を立てる。
 第1場面(~P73L13)から、父の生き方や人物像、太一の思いを叙述に即して読み取り、話し合う。
 第2場面(~P75L16)から、与吉じいさの生き方や人物像、太一の思いを叙述に即して読み取り、話し合う。
 第3場面(~P76L12)から、太一の成長した姿を叙述に即して読み取り、話し合う。
 第4場面(~P78L7)から、母の気持ちや太一の思いを叙述に即して読み取り、話し合う。

・本
 第5場面(~P82L3)から、太一はなぜクエを殺さなかったのか、叙述に即して読み取り、前時までの学習と関連付けて考え、話し合う。
 第6場面と、これまで読み取ってきたことから、海のいのちとは何か、村一番の漁師とはどんな漁師かについて考え、話し合う。
 読み取ってきたことをもとに、作者が伝えたかったことは何なのか、自分の考えをまとめ、伝え合う。


 立松和平のいのちシリーズや、ティエリー・デデューの「ヤクーバとライオン」、アリスン・マギーの「ちいさなあなたへ」などを読み、繋がりゆくいのちへの考えをまとめる。


< 本 時 案 >

主 眼
 第五場面(~P82L3)から、太一はなぜクエを殺さなかったのか叙述に即して読み取り、前時までの学習と関連付けて考え、話し合う。

準 備
ワークシート

展 開
 
学習活動
内 容
教師の支援
 本時の学習課題を確認する。 ・ ワークシートを見て、前時での自分の考えを確認させ、本時ではそれを基に太一の気持ちを話し合うことを伝える。
共通課題:太一の気持ちの転換点を読み取ろう
2   なぜクエを殺さなかったか等、各班で定めた課題について話し合う。

・父の思い出

・与吉じいさの教え
・ 父と一緒に海に出るという太一の夢や追い求めてきた「まぼろしの魚」に「とうとう」出会った経緯を確認させ、太一がクエに出会った感動に共感できるようにする。

・ なぜ、クエを殺さなかったのか、根拠となる記述を探し、既習場面も含めて考えるよう投げかける。

・ 読みが広がったり深まったりするよう少人数での話合いを取り入れる。(評価1)

・ クエの描写に着目させ、太一がクエをいのちを奪い合う相手ではなく遙かに偉大な存在と感じ、クエを父と思うことによって殺さないですんだことを確認する。
3   クエに対する太一の気持ちが変わった様子を読み取る。

・クエを殺すことへの迷い

・泣きそうになった理由

・「おとう」と呼びかけた理由

・ほほえんだ理由
・ 父や与吉じいさの考え方を想起させ、それが太一の行動に表れていることを読み取らせる。

・ 太一の考えの転換点と理由を尋ね、「こんな感情になったのは、初めてだ。この魚をとらなければ・・・泣きそうになりながら思う。」が太一の葛藤を表していることや、葛藤が太一を成長させたということ、太一が父や与吉じいさの死を乗り越えたことに気付かせる。

・ 友達の考えを聞きながら自分の読みを 付加、修正、強化するよう投げかける。
4   本時の学習を振り返る。

・太一の気持ち

・自己評価
・ 今まで父親の仇として追い求めてきたクエを生かすことで太一が得たものは何か考えさせ、太一の成長への共感を味わうことができるようにする。(評価2)

(評価1)根拠を明らかにして、考えたことが分かるように伝え合うことができたか(話合い)

(評価2)太一もクエも「海のいのち」であるということに気付くことができたか。(発言・ワークシート)


< 本時までの学習の流れ >
「●」は、各班で設定した課題
「・」は子ども達の発言    
第一次 初発の感想
(第五場面の関連)
・ 父が死んだ辺りの瀬に船を進めたというのは、父をずっと目標にしていたから同じ場所で漁をしたかったんだと思った。
● 太一は、なぜクエを刺さなかったのか
・ あのクエを見ていると、父に出会った気分になる。なぜなら「ずっといつまでもいられそうな気分。」と書いてあるから。あのクエを殺すと、もう父に会えない気がしたのだと思う。だから殺さなかった。あの後太一は何度ももぐったと思う。
・ クエがおとうに思えたから。
・ p76の一番最後の行「父がそうであったように与吉じいさも海に帰っていったのだ。」から、クエを父と思ったから殺さなかったというより殺せなかったのではないかと思った。
・ 太一は父と戦ったクエを殺せば海がなくなると思ったのではないか。自分の好きな海がなくなってしまう。「千匹に一匹」という教えが守れなくなるから。太一にとってクエは自分の好きな海そのものだから。
・ 瀬の主の目を見たから。
・ 太一にとって、クエは父。p80の最後に「おとう、ここにおられたのですか。また会いに来ますから」と言っているので、クエを父と思ってクエを殺さなかったのかな。
・ このクエは海の主だから、殺してしまえば自分が生きている、住んでいる海がなくなってしまうと思ったから。
・ 父のように死にたくない。全く動かず太一を見ていたから、殺すことができなかった。
● クエを「おとう」と呼んだ事について
・ クエを「おとう」と呼んだのが不思議。関係あるけど、普通は呼ばないと思う。
・ p76の一番最後の行「父がそうであったように与吉じいさも海に帰っていったのだ。」から、父は海に帰っていったということなので、太一は瀬の主のクエを父と思ったのではないかと思った。
・ 太一にとってクエは父でありまぼろしの魚。なぜかと言うと、父は村一番の漁師であり、クエは瀬の主だから。
・ その大魚を父と思ったのが不思議に思った。父が戦った魚を父と思って殺さなかったのですごい。太一にとってクエは父なんだと思った。太一にとって海のいのちとは、クエやいろんな海の生物のことだと思う。
・ 父と一緒に海へもぐるという夢がかなわなかったが、瀬の主に出会え、父と戦った魚と一緒に海でいられるのは、 父といるような気持ちになったのではないか。
・ 太一にとってクエは父の存在

第二次1/6時
(第一場面)
 
● 父の死を太一はどう思ったか。
・太一は父のためにも漁師になろうと思っただろう。
・自分も独りで漁をしたいと思ったと思う。
・この場面は、太一や父が自分の思っていることをあまり言っていないので難しかった。
● 父が死んだ太一の悲しみの言葉がなぜないのか。
・悲しんで海をきらいになるより、一度決めた目標に向かった方が父も喜ぶと思ったから、そんな言 葉は書いていない。
・幼い頃から中学を卒業する年の夏までの話が抜けているが、その間に太一は 悲しみ、弟子になることを考えたのだと思う。
・悲しむより、父の敵討ちのためにクエを殺りに 行った。
・父は死んだのではなく、海に帰ったと思ったから。
・父を尊敬していたのに死んでかわいそう。言葉にするには悲し過ぎるから。書ききれないほど悲しかったから。
● 不漁の日が10日続いても、なぜ父は変わらないのか。
・父にとってクエは海のめぐみだから、不漁の日が10日続いても仕方ないと思っていた。
・命懸けでクエと戦うことが分かっていたから。
● 父が言う海のめぐみとは何か。
・海の魚をとることが海のめぐみ。
・神様がくださったもの。L12
・たくさんの魚がとれること。大魚がとれること。大魚は海からもらった宝物
・人間が生きるために与えられた命。→自慢しなかった。
・海のいのち。海で生きているもの達の命。人間が生きるために殺される命。クエのこと。
● なぜ太一は子供のころから漁師になると言ってはばからなかったのか。
・父もその父も、その先ずっと顔も知らない父親たちが住んでいた海に、太一も住む男だったから。
・漁師だといつも好きな海と一緒にいることができるから。 
・父親をかっこいいと思っていた。
・父を尊敬していて、自分も父みたいになりたいとずっと思っていたから。
● 海に住んでいるとは?
・一日のほとんどを海で暮らしている。P72L4 ・海のお陰で生きているということ
・季節や時間の流れとともに変わるどんな表情でも太一は好きと書いてあるから。海が好き。L5
● 太一はなぜ海が好きなのか。
・父が海を好きだったから。海にもぐると楽しい。「いつまでもいられそう。」「水の感触が心地よい。」 「音楽を聞いているよう。」
・海は友達のような気がしたから。海のお陰で生きていると知っていたから。

 第二次2/6時
(第二場面)
● 太一はなぜそうまでして与吉じいさの弟子になったのか。
・太一の父が死んだ瀬で与吉じいさは一本釣りをしていたので、父が死んだ瀬で漁をしてみたいと思った。
・父の後を継ぎたいから。
・父が死んだ瀬に行っているので、弟子入りして瀬に行けば父に会えると思った。
・本当は父の弟子になりたかったけど、亡くなってしまったから。
・独りでつりをして、父のように死んでしまうのはいやだったから。
● 与吉じいさはなぜ千匹に一匹をとれと言ったのか。
・大物がとれるから。
・自分の知識を弟子に教えたかった。
・100匹とろうと思えばとれるが、そんなにとったら海のいのちがなくなってしまう。必要な数だけとっていけば、海のいのちはなくならず、魚と平和に生きていける。父のようになってほしくな い。海のルールを守らないと生きていけない、父のように。太一を守るため。
・たくさん魚をとりたがる人に与吉じいさが伝えたかった言葉。
● 海で生きるとはどういうことか。
・千匹に一匹という教えを守り漁をすること。
・千匹に一匹つれば、この海から魚は消えないからずっと生きていける。
・魚をたくさんとるのではなく、海を理解すれば千匹に一匹で十分。
● 与吉じいさはなぜ太一にすぐつりをさせなかったのか。
・千匹に一匹でいいことをまず教え、それからつりをさせたかった。P75L9~12.
・本当に大切なことだけ教えたかった。
・太一の父はもぐり漁師だったので、太一に一本づりを教えていいのか迷っていたのかも。
・太一にはまだ早いと思っていた。本当は太一にはもぐり漁師をしてほしかった。

○ 感想(自己評価)
・同じ意見でも話し合えばいい意見になったから良かった。
・与吉じいさは、父のように太一に死んでほしくないというのはすごい意見だなと思った。
・発言もできて疑問も解けたのでよかった。
・前よりたくさん意見が出せた。
・太一がクエをどう思っているのかまだよく分からない。
・もっと意見を出したい。
・もう少し考えたい。
・深い意見が出てよかった。
・2つ意見が出せた。1つはH君やIさんと同じで、2つ目は少しT君に似ていた。
・与吉じいさの気持ちがよく分かった。
・いろいろな人の意見が聞けてよかった。考えをもっと深めていきたい。友達の意見や他のグループの意見も書け、とてもよくできた。
・与吉じいさの教えがよく理解できた。
・「千匹に一匹」が本当に大切なことと分かった。
・太一には父と同じ道(もぐり漁師)を歩んでほしいと思った。ちゃんと班の意見も、みんなの意見も聞けた。
・みんなで話し合った中で「海のルールを守る。」というのがあったけど、私達もルールを守らなければならないと思った。作者はこの場面で「ルールを守れ。」と読者に言いたかったと思う。
・魚と人間では人間の方が力があり、魚をとって食べるが、人間のお陰で生きられる魚もいる。魚の命をもらってありがたく思えば人間と魚は平和に生きていける。遊びで魚をとるのはやめてほしい。
・与吉じいさの太一への思いがちゃんと読み取れた。

第二次3/6時
(第三場面)
● なぜ太一は与吉じいさに「海に帰りましたか。」と言ったのか。
・父が死んだ時に、死ねば海に帰ると思った。
・与吉じいさは毎日海に一本づりに行っていたから。
・「無理矢理弟子になってごめんなさい。」という気持ち
・海で働いていたから。もし山で働いていたら「山に帰ったのですね。」と言ったと思う。
 父と与吉じいさは大好きな海に帰って行った。
・海に生まれたから海に帰る。
・海にずっと住むから。
・「父がそうであったように」から、父に続き2回目だから、死を受け入れることができた。
● 与吉じいさはなぜ太一に「おまえの海だ。」と言ったのか。
・太一が一番海のことを知っていると思った。
・与吉じいさは年を取って、もう漁ができなくなると分かっていたから。
・太一が村一番の漁師になることが分かっていたから。
● 「海に生きる」と「海に帰る」はどう違うのか。
・「海に生きる」=新しい命=魚だと思っていたけど、班の中では「子供」という意見もあって、それも間違いじゃないと思った。
・「海に生きる」=漁師が魚をとって生活すること。「海に帰る」=死んだ人は新しい命をもらって人々の犠牲になること。新しい命のために死ぬ。
● どうして太一は自然な気持ちで顔の前で両手を合わせることができたのか。
・父の死を経験しているから。成長した。
・死を受け入れられたから。
・千匹に一匹ということを学んだ。これまでのことを全てお世話になったから。
● 「海に帰りましたか。」の意味
・海がふるさとだから。
・海に帰ることは海の男達にとって嬉しいこと。海に住む人に必ず訪れること。
・与吉じいさも魚も自由になった。
・「父がそうであった」から海に住んでいた人は、故郷に帰ったということ。
・海のいのちになった。大好きな海の一部になった。
● 海のいのちとは?
・海を愛した者の「いのち」なんだ。大好きな海の一部になれたことは嬉しいこと。与吉じいさは今 も大好きな海で自由な生活をしていると思う。

 新しい疑問 「太一はなぜ与吉じいさが間もなく亡くなることが分かっていたのに弟子になったのか。」についても話し合った。「魚釣りの技術だけでなく、今までに会得した魂を伝えてもらうためだった。」などの意見が出た。

○ 感想(自己評価)
・少しの場面からたくさんの疑問や意見が、他の班からも出たのですごいと思った。
・みんなの意見がすごくよかった。

第二次4/6時
(第四場面)
● 父が死んだ後、太一は誰にもぐり漁を教えてもらったのか。
・漁師だった人にもぐり方を教えてもらった。
・誰にも教わっていない。だから母は心配した。
・小さい頃に父に教えてもらった。
● 一本釣りの与吉じいさの弟子になったのに、なぜ海にもぐるのか。
・父と与吉じいさに会えるから。
・P73L7「とうとう父の海にやってきたのだ。」から、父と与吉じいさは海に帰ったから。
・海にもぐったら父に会える気がしたから。太一の中では、父と与吉じいさは海に住んでいると思っている。
・本当は父の弟子になりたかったが亡くなったので与吉じいさの弟子になった。
・もぐり漁師になりたい気持ちと、父に会える気がしたのは両方あると思う。
・父が死んだ瀬がどんな所か見たかったからだと思った。
● なぜ母は、太一が海にもぐることを怖がったのか。
・父が死んだ瀬で太一がクエを突いて、父みたいに死んでほしくないから。
・太一も父のようになってほしくなかったから。
・太一に死んでほしくなかった。
・太一ももぐって死んでしまったら母は独りになるから。太一がクエを恨んでいたとしたら、太一は 父の仇を取ろうとするから。
・父の死んだ瀬に行って、クエを殺そうと思っていたのを、母は気付いていた。
・母は太一が死ぬのではないか、心が傷み太一が壊れてしまうのではないかという2つも不安を抱いていた。本当に夜も眠れなかったのだろう。
・海にもぐるときっと父のかたきを取ってクエを殺すから、太一も父のように死んでほしくなかった。 無理矢理与吉じいさの弟子にしてもらったから、きっとクエを殺してしまうと思うから。母は太一に父の仇を取ってほしくない。
・同じ場所で同じ死に方をしてほしくない。
● なぜ太一は自然な気持ちで顔の前で両手を合わせることができたのか。
・死は死だから悲しかったと思うけど、それを乗り越え、自然な気持ちになったと思う。

○ 感想(自己評価)
・賛成意見と反対意見が出たので、考えが深まった気がした。考えをたくさん出せる練習をしたい。
・疑問についてもいろいろ話し合えたのでよかった。ただ少し、班のみんなに伝わりにくい所もあったので、これから気を付けたい。
・意見も出せたし発表もできたのでよかった。
・私達の班は、太一が死んでほしくないという部分に集中していた。多分、みんなも太一に死んでほしくないと思っていたんじゃないかと思う。
・父に教わっていたというのは、なるほどと思った。
・人によって考えは違うんだな。
・次は他の班が出ないような意見を出したい。

そして迎えた公開授業。

子ども達は、やや緊張していたが、これまで学んできたことをしっかりと頭に入れ、
よく聞きよく考え、落ち着いて活動した。いつもは随分幼い言動も目立つのだが、
この日ばかりは、なかなかたくましく見えた。




ここからが本時の記録


第二次5/6時(本時)
(第五場面)
1 共通課題「太一の気持ちの転換点を読み取ろう」を提示した。
2 各班で追究した学習課題を伝え合った。
●  なぜ太一はもぐり続けたのか。
・どうしても仇が取りたかったから。父に会えるような気がしたから。
・そこまでクエを殺したかった。
● なぜクエは動かないのか。
・どうして他のクエを見ても太一は興味が持てなかったのか。→追い求めていたまぼろしの魚ではなかった。
・クエは自分が殺した父の息子ということが分かった。だから「殺してくれ。」と訴えたのだと思う。 →太一がそう思った。
● なぜこの魚をとらなければ本当の一人前の漁師にはなれないと思ったのか。
・クエは瀬の主だから、ここで殺すと一人前になれると思った。
・現時点でクエを殺さないと父に失礼だし、それぐらいでないと本当の一人前の漁師にはなれないと 思ったから。
・このクエを取れば父に認められて一人前の漁師になれると思った。

 ここで新しい疑問「村一番と一人前はどう違うのか。」が出たので、班ごとに相談し合い、それを全体で伝え合った。技術だけでなく生き方こそが、漁師を価値付けるのだということに、みな気付いていた。
● なぜ太一は泣きそうになったのか。
・本当の一人前の漁師になれない悔し泣きと、父にもうすぐ会えるという嬉し泣き。
・殺してやろうと思っていた、自分の追い求めていたクエに会えた嬉しい気持ちと、このクエを殺し ていいのか不安な気持ちがぶつかったから。このクエを殺して父は喜ぶのか、母はどう思うのか。 自分は何のためにクエを追っていたのか。一人前の漁師になるため?仇討ちのため?どうしていい のか混乱して泣きそうになった。
・迷いと不安が重なって泣きそうになった。
・おだやかな目で見られた時→迷ってる。
● どうして太一はクエに向かってほほえんだのか。
・クエが父に思えたから。父に会った気がしたから。
・父と一緒に戦ったクエに会えて嬉しかった。
・そこに父がいるような気がしたから。
● なぜクエが海のいのちと思えたのか。
・太一が小さい頃に大きなクエを父が殺そうとしたが、クエにはかなわずに父が死んだから、そのクエは海の命だと思った。
・150kgを超えている上、もりを突き出しても全く動かないで目を見ていたクエが、魚の代表のように思えたから。
3 太一の気持ちの転換点がどこか、話し合った。
4 学習のまとめをした。

本時を終えての
子どもの感想
・違う課題の他の班の意見も参考になった。太一はクエを父と思い、殺したい気持ちを乗り越えた。たくさんの意見が出た。みんなよく考えていると思った。
・クエを殺すか殺さないか、不安だった。私が太一だったら憎んだとしても殺さないと思う。クエに会えて嬉しいのは嬉しいけど、本当の一人前になれないから、そんなに嬉しくないのかなと、人の意見を聞いて考えが変わった。
・最初は新しい疑問が出て、よく分からなかったけど分かった。いつもはあまり発表しないけど、した。自分の思ったことを発表できた。
・ちゃんと考えられたのがよかった。自分の考えが深まった。
・太一は母の言うことも聞きたいけど、どうしても父の仇を取りたかったんだと思う。
・今日はいろいろな先生が来て少し緊張した。課題がいっぱいで疑問なども解決できてとてもよかった。発表もでき、とても良い勉強になった。
・いきなりの質問にうまく答えることができた。
・意見は人それぞれ違うんだとびっくりした。
・疑問なども出せたので良かった。
・最初は、クエを殺したら確かに父を超えることができると思っていたけど、班や他の班の考えを聞いて、クエを殺したら瀬の主、海のいのちを奪うことになる。だからそれ(クエを殺すこと)はいけない。
・みんなすごかった。私にとっても今までで一番良かった、頑張ったと思う。
板書 ワークシート 班での話合い

考 察
1 成果
・ 各時の終末に書かせた感想では、時を追うごとに学習の満足度が上がっていったことが読み取れる。学習方法を確実に身に付けてきた結果だと思う。また、「いのち」のつながり、自然との共存、自分の存在の意味等についての気付きが持てる子どもが増え、他の読み物や情報に、進んで接しようとする態度がよく育った。

・ 話合いでは、全体の流れや自分の立場をわきまえて発言する態度が身に付いた。他の班に対する質問では、その班が答えてくれるまで、急かさずじっくり待つことができるようになった。発言への意欲も育ち、学級生活の中でおとなしく過ごすことの多かった子どもにも積極性が見え始めた。
      
・ 自分の考えを相手に伝える際に、相手意識をしっかりもち、内容や順序を整理したり適切な言葉を選んで伝えたりしようとする子どもが増加した。「自分の考えが伝わりにくかったので、もっと説明の仕方を工夫したい。」 など、自分の学びに対する反省・改善意見は、全体の前で積極的に取り上げ紹介するようにしたところ、他の子どもにも少しずつ、自分を見つめる目が育ってきた。

・ 「振り返りカード」の活用により、作品全体を見通して登場人物の生き方を想像したり、情景描写や場面と場面の関係性を考えて作品の主題に迫ったりする読みの経験に役立った。また、「振り返りカード」には、「〜さん の考えを聞いたから分かった。」「初めは〜と思っていたが、違うことに気付いた。」「意見が言えて嬉しかった。」 「考えは人それぞれだと思った。」などの意見が見受けられ、表現することの喜びや、伝え合い学び合うことの大切さを実感できた子どもがいたようだ。

・ 読み取りにおいては、心情や情景描写、会話、繰り返される言葉、色、比喩など、表現の細部に注意して読む力が向上した。また、心情等が詳しく書かれていない部分では、物語全体や前後の文をヒントに、自分なりの読みを展開する力が育った。

 2 課題
・ 少数だが、自他の考えを比較したり関連付けたりすることが苦手な子どもがまだいるので、引き続き、指導していきたい。

参観者の感想
・ 子ども達が積極的に意見を出し合い繋いでいっている姿に素晴らしさを感じた。と同時に、先生の指導力の高さを感じた。本時であれだけ班で話し合ったことが出せるということは、前時の班別学習が充実していた証拠であると思う。その班別学習の姿も見てみたかった。

・ 太一はなぜクエを殺さなかったのか叙述に即して読み取らせ、太一の心情の変化について話し合うという意識を、子ども一人一人に明確に持たせるために、学習課題「太一の気持ちの転換点を考えよう」を前面に打ち出したことは、本時の学習の流れを決定づけるのに有効だった。

・ 殺したい気持ち、殺したくない気持ちを円グラフの教具を活用して、転換点を見つけさせようとした工夫は、学習課題から離れさせない手立てとなった。

・ 子どもが課題とした文章とそれに対する子どもなりの理由付けや解釈は、太一の心情や心情の変化に結び付くもので、ストーリー性を持たせるように子ども達から出させることによって、場面をドラマチックに捉えさせることができた。

・ 個人、小集団レベルに留まることなく、横軸の広がり・深まりを図るために、ワークシートの設問の工夫や、教師が子どもの考えをまとめ情報発信をすることは画期的で素晴らしいと思う。

・ 話題への考えを持ち、相手の言わんとすることに沿うようにする姿が見られた。そこにもっていくための指導など、聞きたい。
 







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