米づくりの問題点と工夫(5年:社会科)

1 ねらい

日本の米づくりにおける問題点を知り、農家や政府がその解決のために様々な工夫や努力をしていることに気付く。


2 展開
(活動1)
・米の値段の推移を示すグラフを示した。グラフは、2001年の時点で魚沼産のコシヒカリのみ60s25000円以上をキープしているが、その他の品種は全て20000円割れしていることを示している。
・子供たちは、米の値段が確実に下がってきていることにはすぐに気付いたが、そこに含まれる農家の切実な願い(高く売りたいという思い)には気付かないようだった。
・「なぜ下がっているのだろう。」という問いには、「下げないと売れないから」「値段が下がると消費者が喜ぶ」等、消費者の立場での発言が多かった。値段が下がってどうなるか生産者の立場で考えるように促すと、「安くなって困る。」「たくさん作らないと、もうからない」等の発言があった。
・既習の、農業従事者や農家数も減少していることを想起させたところ、子供たちは、「工夫しないと農家は大変だ。」と口々に述べた。

(活動2)
・ここでは、農業従事者が少なくなる中でたくさん生産するために、農家はどんな工夫や努力をしてきたか、学んできたことを振り返るよう投げかけた。そして子供たちから出た「合理化」「機械化」「品種改良」等の言葉の復習をした。
・機械化については、資料集の農事カレンダーを見ながらどんな農業機械や道具が必要か確認した。トラクター、コンバイン、田植機、代かき機、トラック、農薬、肥料などの他に、あいがもや、えさ、ガソリン等の意見もあった。
・そしてそれらの値段を想像。高級車並みの値段のものもあることや、こうした農機具代等を含めて考えると生産費は60sで16000〜17000円にもなることを伝えると、ほ〜っと驚愕のためいきを漏らしていた。
・人手不足を補い生産性を上げるために合理化・機械化が進んだが、それがまた大きな出費となることや、外国米の輸入(輸入自由化も既習)によって「米あまり」に拍車がかかっていること、出費を軽減するために計画的な「共同化」が進められてきたこと等を確認。このあたりも既習事項の振り返りだったが、活動1の資料と結び付け、米づくりの危機と工夫を捉えさせるために扱った。(^^) 

(活動3)
・ここでは、米あまりを「生産調整」「減反」「転作」等によって解決しようとしてきた国の政策とその費用(年間約2900億円)、それによって減った日本の水田の面積(1969年317万ヘクタール・2001年には170万ヘクタール)等をまず紹介。
・水田が果たしている役割(貯水・気温を下げる・水の浄化・山崩れを防ぐ)については、資料集で確認した。
・次に、生産調整によって稲作をやめた水田の写真と助成金の額・管理費等を紹介し、感じたことを話し合った。示した写真は次の5枚。(「青刈り」については次回触れる予定。)

減反により年間10万円の費用をかけて耕している土地。(助成金は6万円で毎年4万円の赤字)
荒れ放題の土地。助成金は出ないが耕す費用と手間もかからない。稲作の再開は困難。
稲作しないがいつでも再開できるよう、水を張っている田。維持に助成金の2倍の費用がかかる。
一部に稲を植えていない田。
転作し麦畑になった田。近所の人に貸している。

・子供の意見・・・「農家の人は赤字になってまで農業をしたくないと思う。」「せっかくやる気になっても作るのをとめられて、悲しい。」「自分なら思い通りに働きたい。」
・本時で扱う資料が多く(グラフ・資料集・ノート・写真)、内容が張ったため、話合いに十分な時間をかけることができなかった。(深く反省!!) 次時こそは十分な時間を保障したい。
・以上のように農家や国が工夫・努力を続けているが、米づくりの問題は未だ解決には至っていないことを、活動1で示したグラフで確認した。多くの農家があまりにも疲弊していることが子供たちにも伝わっただろうか・・・。折しも、今朝のニュースで食糧法改正の動きについて報道されていた。近く減反政策は見直されることになるだろう。一消費者に過ぎない我々だが、日本の食糧問題をもっと真剣に考え合わなければならないと強く感じる。一人でも多くの子供たちがこの問題を身近に受け止め、自分事として考えてくれることを願っている。
・最後に、農事会社の設立や消費者とのつながりを持つ生産者の姿、不耕起栽培などの新しい取り組みについて、前もって家庭で自主的に調べてきた子供の資料を使って紹介し、授業を終えた。学ぶことの大切さを、私自身も深く感じた1時間だった。


平成15年5月

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