金子みすゞの世界 〜「土」〜(3年:国語科) 

< 教材文 「土」 >

こッつん こッつん
ぶたれる土は
よいはたけになって
よい麦生むよ。

朝からばんまで
ふまれる土は
よいみちになって
車を通すよ。
・・・・・・・


ぶたれぬ土は
ふまれぬ土は
いらない土か。

いえいえそれは
名のない草の
おやどをするよ。

1 ねらい
 「土」に対する作者の気持ちを想像したり、詩を創作したりする活動を通して、
人や物の存在価値に気付くことができるようにする。

2 準備

掲示用写真(打たれる土・実った畑・踏まれる土・道・草原)

3 学習過程

学習活動・内容 教師の支援・評価
1 金子みすゞについて知っていることを紹介し合う。
 ・詩に表れる優しさ
・ みすゞ記念館に行った時のことや、家にある
 本のことなど、金子みすゞについて知っている
 ことを自由に発表するよう促す。
金子みすゞさんの気持ちを考えよう
2 「土」を読み味わう。
 ・擬音語「こッつんこッつん」
 ・連や言葉の類比
  「ぶたれる」「ふまれる」
  「よいはたけ」「よいみち」
 ・連や言葉の対比
  「ぶたれぬ」「ふまれぬ」
  「いらない」
 ・問いかけ「〜か」
 ・条件による土の働きの違い
 ・作者の見方
 ・作者の気持ち・考え方


3 身近な人や物の存在について考え、詩を作る。 
・物への思い
・人への思い
・ 「土」を1連ずつ提示し、子供にとって不明
 な言葉はその都度説明する。
・ 場面のイメージが浮かぶよう、写真を提示す
 る。
・ 微音読や音読を繰り返し、詩のリズムや言葉の
 響きを味わうようにする。
・ 類比されているものや対比されているものを探
 し出すよう指示する。
・ 1,2連と3,4連との関係を考える中から、畑や
 道にならない土の存在にも目を向けその価値を
 認める作者の見方に気付くようにする。
・ 作者の気持ちや考え方を想像し、ノートに書
 くよう指示する。
(評) 人の役に立つものだけでなく、日頃見落とさ
 れがちな身近なものに対しても、変わらぬ思い
 を寄せる作者の優しさや感性の鋭さに気付いた
 か、発表や一口感想から捉える。

・ 土を身近な人や物に置き換えて考えることに
より、存在することの平等な価値に気付くこと
 ができるようにする。
(評) 特別なことをしなくても、誰かに勇気や心強さ
 を与えたり、役立ったりする人や物が、身近にい
 くらでもあることを見つけたか、詩作から捉える。

4 活動の様子

<活動1>

・ すでに作者の他の詩を知っている子供が多く、好きな詩を暗唱したり、詩の題名を発表したりした。作者の出身地や略歴については知っている子も多かったが簡単に紹介した。
・ 「雪や魚・小鳥のことを考えたりして優しい。」「早死にしてかわいそう。」「母親が死んで子供もさみしいと思う。」「『こころ』が好き。」などの発言があった。

<活動2>

・ 学習課題を提示し、「土」を1連ずつ板書した。
・ 最初に鍬の写真を提示し、「こッつん こッつん」のイメージ化を図った。子供たちは、それが繰り返しの言葉であることにすぐに気付き、「ツ」(拗音)の表記や「ぶたれる」という言葉から、「何だか痛そう。」「人が一生懸命土を打っている。」などの感想を述べた。
・第2連では、「朝からばんまで ふまれるとどうなるかな?」などと投げかけながら詩を板書し、道の写真を提示した。
・「よいはたけ」と「よい麦」の類比や「ぶたれる」と「ぶたれぬ」の対比等にも、多くの子供がすぐに気付いた。「はたけ」や「みち」はなぜひらがななのかという疑問を出した子供がいたが、すぐに「金子みすゞさんが子供の気持ちになって書いている。」「話者が子供」(話者の概念については既習)という意見が出て、皆納得したようだった(私自身は、作者の畑や道への思いが見て取れる気がしたのだが)。
・文末の「よ」の働きを尋ねると、「作者が読者に教えている」「優しく言っている」等の意見が出た。また、「か」が読者への問いかけであることや、4連の「いえいえ・・」と呼応していることにも気付いた。

<活動3>

・ 土のように、進んで何かをしているわけではないけれど役立っているものが身の回りにもないか尋ねたところ、空・山・水・電気・木・家などたくさんの反応があった。また、人はどうかと尋ねると、母・父・祖父母などの家族をはじめとして、友達・ご先祖様・ペット・動物・虫(子供にとっては虫も人の仲間)等の意見が次々と出た。
・ 詩の創作は、身近な人や物との関わりについて考える好機となり、感性を働かせながら真剣に取り組んだ。「おじいちゃんがいないと僕もいないよ。」「けんかばっかりするけどKちゃんが好きだよ。」「水は田んぼにたまって稲を育てるよ。」など、各自の個性が発揮された作品となった。

 
< 「土」に対する事後の感想 >


・ 「土」の詩は「雪」の詩に似ていました。
・ 金子みすゞさんの詩は、対比とか繰り返しの言葉が見付けやすいです。
・ もっと金子みすゞさんの詩を知りたいです。
・ 土の心になった気がした。
・ 前から金子みすゞさんは優しいなと思っていたけれど、生き物だけでなく、自然のことも考えていることが分かった。
・ まわりの全部の気持ちを考えていて、みすゞさんはとてもやさしいと思いました。
・ 金子みすゞさんは、話者になるのがとてもじょうずでした。
・ すごく土の気持ちになっていて、すごかったです。
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