ストリートチルドレン・イン・ネパール(5年:道徳)  〜3時間分〜
///  UP DATE 04/02/07  ///

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Street Children in Nepal



< お 礼 >



 
授業に当たり、写真やビデオ、ネパール情報等、快くご提供・ご協力下さいました吉田稔さんに、心よりお礼申し上げます。

 ありがとうございました。


1 地図やグラフにより、ネパールの位置・気候・人口・文盲率等を知った。

 沖縄と同じくらいの緯度だが標高が高いので、海に囲まれた沖縄よりも寒暖の差が大きいことなど、無理なく理解することができた。
 6、7、8、9月頃のモンスーン気候については少し説明した。最低気温が10度以下の月が5ヶ月もあり、氷点下を記録した月もあることなど、グラフから読み取ることができた。
 本校はネパールの学校と交流がある。そのため、以前から子どもたちは国旗や文字などには親しみを持っていたが、高い文盲率については初めて知ったようで、大変驚いていた。
 ネパールが他民族・多言語国家であることや、徐々に緩和されてはいるものの、カーストの習慣や伝統を固く守っている人もいることなど、少しだけ説明した。

2 写真を撮った吉田稔さんを紹介し、吉田さんの写真を見合った。

 顔をしかめ、苦しそうな表情で写真を見たり、説明を聞いたりしている子や、あっけに取られた表情の子、まだピンと来ないといった表情の子どももいた。
<説明したこと/説明プリント配布>
・ カトマンドゥには約1000人のストリートチルドレンがいること
・ ストリートチルドレンとなった原因(親からの虐待・過酷な労働・都市への憧れ・失業等)
・ 子どもたちの収入、食事
・ 無理解で差別的な市民による襲撃、暴力
・ 病気

<写真提示>
・ 食事を配給するボランティア
・ マリファナ、ハッシシ、シンナー等による健康被害(薬物乱用防止学習の復習)
・ 労働中の多くのけが
・ 眠るところ、雨のしのげない小屋
・ 小屋のそばのレンタルルーム、裕福な家
<子どもの反応>
・ なんで親は面倒を見ないんだろう。家族がいるのに助けてくれないのが不思議だ。
・ ほんとに子どもだけで生活できるのか。
・ 薬物は絶対いけない。
・ 服がものすごく汚れている。
・ 何もかけないで眠っている。
・ 小屋の周りもゴミでいっぱいだ。
・ 普通の家庭も結構貧しい。

<手足にたくさんのけがをしている写真を見て>
・ あんなの私だったら考えられない。
・ 足に傷やけがをしているのに、痛くないのだろうか。マリファナのせいで痛みを感じないのかもしれない。

<公園管理事務所に毛布を奪われ、木の下で身を寄せ合って眠っている写真を見て>
・ 私は、いつもいつも毛布とか枕を身に付けて寝ているから、幸せだ。
・ 寝相が悪い子はいないのだろうか。
・ 他人と毛布なしで寝るなんて、私だったら信じられない。


3 ビデオ(約37分:吉田さん撮影)を視聴し、気付きを述べ合った。

 ビデオは、どの子の心にも重く響いたようだった。自分たちと同じ年頃の子どもたちが、命懸けで生きている。親とも暮らせず、病気になっても病院にも行けず、危険がいっぱいのゴミの山を素足で歩き、その日の糧を得る・・そんな暮らしを目の当たりにし、ショックを受けていた。

 ここでも「こんな目に遭わす親が許せない。」という意見があったので、親もいかにゆとりのない生活で苦しんでいるかが分かるよう、あるストリートチルドレンの母親の話をした。妊娠が分かったその母は、「お金があったら中絶したい。」と言って、その少年の前で泣いたのだそうだ。子どもたちは静まりかえってその話を聞いていたが、多くの子にとって、やっぱり親を非難する気持ちは変わらないようだった。

@ その時の様子
 「お金があったら○○するのに。」の○○に入る言葉は何だと思うか聞いてみた。「世話」「食べさせる」などの言葉を子どもたちは想像した。「中絶」だと言ったら、一瞬息を飲んだ。(中絶が何かということは既習。マザー・テレサが日本の中絶件数が多いのを1981年の「生命の尊厳を与える国際会議」で非難したことも学習していた。)


<子どもの反応>
・ お腹の中に子どもを作らなければいいのに。
・ お金があったら育ててあげればいいのに。
・ お母さんがそんなことを言うなんて、とても信じられない。
・ 私はお腹の中から元気に生まれてよかった。
・ お金も少ししかないのに、お母さんのためにその少しのお金を家に持って帰った子どもはすごい。
・ 泣くお母さんを見てすごくびっくりしたと思う。私だってこんなこと泣きながら言われたら、自分の母じゃなくてもびっくりする。
・ 私が子どもの立場だったら、自分の時もそうだったのかとショックを受ける。どうせ育てられないと分かっているからだろうか。
・ お母さんは間違ってるんじゃないか。泣いて言うべき言葉は「お金があったら子どもを育てられるのに」と言うべきじゃないか。子どもを愛してないのではないか。
・ お金がなくて、ストリートに出さないといけなくなるだけでなく、ストリートに出て苦労させないためと思って言ったと思う。ネパールではストリートチルドレンじゃあなくっても、生きるのがとっても大変なんだと思う。そして、それを聞いた子どもも、お母さんと同じくらい悲しかったと思う。私だったら大泣きする。中絶自体がなくなってほしい。
・ 中絶する方が、もっと悲しい。ストリートチルドレンは、お金がなくても一生懸命働いているのに、ストリートチルドレンにならせる前に殺すなんて、みんなもものすごく悲しいはずだ。仕事をして立派に育っていく子もいるんだから、中絶なんか考えなくていい。子どもであそこまで頑張って生きていけるのに、親が諦めてはいけない。親も一緒にプラスチックとかを探せばいい。
 
 そんな風に泣くしかなかった母親の気持ち、生活の苦しさを想像しようとする子もいたのだが、多くの子どもたちが母親への反発・非難を口にした。親も一緒にプラスチックを拾っている写真や、他にも想像を絶する苦しい生活をしていることがわかる写真があれば、今後提示し、もう1度考え合いたいと思う。

<ビデオの中の薬物を使用する子どもについて>
・ とっても悲しい。悲劇だ。薬物を吸ってるなんて、とても考えられない。
・ 麻薬なんか吸わないで、もっと前向きに生きていってほしい。悪いと分かっているのならやめて、分かってないのなら知らせてあげてほしい。でも、これは日本の大人にも言えることだ。本当にやめてほしい。
・ 私だったら麻薬は絶対使いたくない。赤いジャンパーを着ていた子を絶対忘れず覚えておいてほしい。周りの人が忘れたら、死んだ子は命の証明がない。
 
 薬物が健康や人格を破壊することを、子どもたちは既に学習して知っている。感情移入はしているのだけれど、共感はできない、そんな感触だった。
<NGOや多くのボランティアについて>
 NGOや多くのボランティアの存在、そして吉田さんのようにネパールでの体験を私たちに語ってくれる人の存在をここで再度話題にした。

<子どもの反応>
・ 「貧しい人は美しい。」ってマザー・テレサが言ったけど、それが分かる気がする。
・ みんなNGOの人を心待ちにしてると思う。
・ 青空教室をして、外でもいいから教育をもっとしたらいい。そしたら大人になった時、仕事ができるから、今はつらくても勉強してほしい。
・ 世の中の人間がみんなマザー・テレサみたいだったらいいけど、違うので、ユニセフに入る人が増えるといいと思う。


 学習中子どもたちは、国語科で学習したマザー・テレサをしばしば想起し、「マザー・テレサはこういう子たちを絶対救うよね。」「インドの貧しい子をいっぱい救ったよね。」などと言っていた。(この学習で、彼女の働きのすごさを再認識したようだった。)
 吉田さんの写真の中に、10年前、ストリートチルドレンのための青空教室から始めて今はEPHCという貧しい子どものための学校の校長をしている女性の写真があったので、「プリントアウトしておけばよかった!」と後悔した。
(その写真は翌日紹介した。その時の反応はこちら↓)

・ こんな人がたくさんいてほしい。
・ その学校を続けていってほしい。1人の努力でいろんな人が助かることが分かった。
・ 親にも捨てられたり育てられない子どもを、マザーテレサのように育てていて大事にしてあげていて、すごい人だと思う。


 ビデオ視聴後の、その他の反応はこちら。
 
・ ぼくはいつも普通の生活をしていて、食べれなかったら残している。残さないようにしたい。
・ ビデオから目をそらさないで一生懸命見た。いっぱいの子どもがボロいテントみたいなのや、ゴミの山をあさってプラスチックを拾って売りに行ったりして、とてもぼくはできないと思った。
・ 1日1食くらいで、お金の入った時しか食べられないから、ずっとお腹が減っていると思う。
・ 父親に殴られ、人に殴られ、それでも子どもたちはゴミの山からプラスチックを探して見つけたのを売って、お金にして暮らしている。すごい。ぼくは、この子どもたちは、くじけず生きようとしていることがよく分かった。
・ プラスチックを取っていたのがすごく危なそうで、やめた方がいいと思ったけど、それをしないと生きていけないのがすごく悲惨だ。でも、食事中や水浴びしてる時は、普通の子みたいで幸せそうだった。親がしっかり見てやればいいけど、できないなら、親もたまには会いにいけばいいと思う。
・ 金持ちはいろいろな物をいっぱい持っているのに、貧しい人たちから一つしかない毛布や少ししかない金を奪ったりする。贅沢な暮らしをしているのに、そんなことをして楽しいのか。
・ ストリートチルドレンは仲間を大切にしないと生きていけないということが分かった。
・ ぼくが驚いたのは、この子どもたちはマリファナやシンナーなどの薬物に手を出してることだ。ストリートチルドレンのいない日(誰もストリートチルドレンにならない日)が来ればいい。
・ ストリートチルドレンのみんなを保護できる施設を、早く、たくさんつくればいいと思う。マザーテレサの青空教室も成功しているからできると思う。あと、亮君みたいに募金を集めるのもいいと思う。全世界だからいっぱい集まると思う。みんながストリートチルドレンのことを知ることが大事だと思う。
・ ネパールの首都で、あんなに貧しい人と豊かな人の差があり過ぎると思う。プラスチックを軍手もしてないのに取って、お金にしたり、とても考えられない。ぼくだったら両親がいなくなってひとりで子どもなのに生きていけと言われても無理だ。でも、シンナーを吸って寒さを忘れたりするのはいけない。何があっても貧しくても、吸ってはいけない。
・ 百何円かのお金で生活するのに驚いた。でも、33円くらいで食べれて、つけもきくのでよかったなと思った。
・ 洗車している人も、夢を持って働いていた。でも、夢がかなわなくてかわいそうだ。
・ 一生懸命働いて生きているけど、中にはスリをしたり薬物で叫んだりする子もいるから、周りの人は嫌がってるんじゃないか。
・ ネパールの貧しさがよく分かった。プラスチックを集めてお金に換えて生活したり、4月でも日中に30度を超えることとか、熱が40度あっても病院に行かないこととか、日本ではあり得ない。すごく違ってびっくりした。
・ 食べ物が食べれない、学校へ行けない、着る服がない、家がない、父母がいない、けがしてもそのまま、病気でも寝たまま、虐待、その他いろいろされて、私は無駄遣いとかたくさんしていたので、この人たちのことを考えて生きていきたい。
・ ぼくは将来いろいろなりたいけど、ストリートチルドレンのために専用の町をつくってみたい。レストランもあるし部屋がひとり1つのマンションでレンタルビデオや本やいろいろなのがいっぱいで、貧しい人はわけを言いに来れば家族みんなで暮らせるようにしたい。
・ けがをしながら、お金になるものを探していたのがショックだった。ボランティアがスープを持ってきていたけど、それはお金になるものを拾う力になるから、私も何かしてあげたい。
・ お母さんにわがままを言える私は幸せだと思う。

 写真やビデオに、女の子の姿がないことに気付いて質問してきた子(女児)がいた。持参金が高くならないよう早めに結婚させられたり、売春などの道に進んだりする子が多いのだと話して聞かせた。悲しい現実だ。ここでも、より自由で将来への希望があるのは、やっぱり男の子なのだ。貧困と、差別される性だという二重の呪縛で、女の子たちは一層悲惨な人生を歩んでいる。

<子どもの反応>
・ 結婚したり売春したりしているなんて、絶対おかしいと思う。

4 子どもに認められるべき権利には何があるか、考え合った。

 安心して眠る権利、お腹いっぱい食べる権利、大人に守られる権利、成長する権利・・・。他にも子どもに保障されるべき権利はたくさんあることを、まず確認。しかし、それらのうち、何ひとつ満たされない子が、世界には何百万人もいることを伝えた。
 私達は遠い国で、あたかも無関係のように暮らしているが、こうした現実を知らずに過ごしていいのだろうか?知ったことによって何かを変えていかなくてはならないんじゃないだろうか?何を変えることができるのだろうか?今の自分の暮らし、生き方はどうなのか、これからどんな風に成長したいのか、どんなことができるのか考えてみよう、・・・そんなことを話して授業を終えた。

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【 翌日の日記より 】
・ 毛布や布団をたくさん掛けて寝ているから、貧しい国の人に申し訳ないと思う。
・ OBなど、気持ちが分かる人がボランティアになるといい。
・ これほどまでに生きるのに努力しているのに、とてもびっくりした。ゴミの中でプラスチックを探し出すだけでも驚くのに、足は傷だらけで、私の周りにこんな人がいたら、信じられない。ここまでしないと生活できないなんてかわいそうでたまらない。公園で、毛布もないのに寝ていたり、ずーっと同じ服を着ていたり生活の苦しさが本当によく分かった。
・ ストリートチルドレンがひとりでも多く、楽な思いをしてほしい。
・ 明るく前向きに生きるために、人の助けがなければならない子どもたちがいる。そういう事も分かって、裕福な生活をしている人も邪魔者扱いしたりいじめたりしないで、食べ物を分けてあげたりしてほしい。そういう優しい心を世界中の人が持っていたら、どんなに幸せな世の中が作れるかを考え、私もできるだけ優しい心を持っていきたい。
・ ストリートチルドレンのためのランドをつくってあげればいい。貧しい人もOKだ。いろいろな店もある。大人になったらそうしたい。
・ 日本が、ストリートチルドレンを保護する施設をあちこちにつくったら保護できるのではないか。
・ 貧しくてもお金がなくても、助け合って頑張りながら生きたいと思った。
・ 私は日本にたまたま生まれてきたから自由にできるだけ。私は勉強していろいろなことを学んでいるけど、ストリートチルドレンは食べていくのがやっとだ。ものすごい差別だ。

・ 
そのまま死ぬんじゃなく、働いて働いて、貧しさから脱出しようとしている。ずっと忘れず応援したい。

 何だか、子どもたち自身が培い身に付けてきた良識や常識的判断に邪魔されて、琴線に触れないままの子もいたんだなと、日記を見て感じた。確かに、子どもにとっては理解しきれないことも多い内容だったし、知ったところで、彼らのために我々にできることなんて、そんなにないのかもしれない。本当は、経済的に豊かならよくて、貧しければ悪いなんていう独善的な固定観念も打ち崩せる授業でなければならなかったのだけれど、そこまで達することができなかった。私自身の勉強不足、構想不足を反省!
 しかし、他国の子どもに現実に起こっていることを、まずはひとつ紹介できて、ほんとによかったと思う。ネパールだけじゃない、子どもだけじゃない構造的な貧困、搾取、その他数々の不合理については、これからも紹介していきたいし、考え合っていきたい。そして、自分の生を見つめ、大切にできる子になってほしいし、国や性別や生活条件、その他諸々に関係なく、他人の苦しみ・気持ちの分かる子に育っていってほしい。できることなら何かひとつでもアクションが起こせる子になってくれれば嬉しいと思っている。



<追記>
・ 翌日、吉田さんのその他の写真の一部を提示した。また、「過酷な世界の天使たち」(同朋舎)と「小さな労働者」(あすなろ書房)のストーリー・テリングをした。

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