私の研究レポートを書こう(3年)



<学習指導案>

 単元の目標 

 身近な暮らしの中から,自分が興味をもったことについて調べ,レポートを書く。


 指導の立場

 本学級の児童(女子10名・男子14名)は,これまで招待状を書いたり,身近な出来事を記述したりする学習を経験してきている。材料の収集や選択にも幾分慣れ,段落構成を考えて書く態度も徐々に身に付きつつある。しかし,文章を書くことに抵抗がない児童はまだ少数で,語彙が極端に少なかったり,自分の考えが書けず事柄の羅列に終始してしまったりする児童は多数いる。書く速さも個人差が大きい。聞いたことのメモを取ったり,自分の書いた文章を校正したりする活動も体験してきてはいるが,日常的に活用できる児童は数名である。

 本単元では,自分の興味ある問題について調べ,レポートを書くことを学習する。既に児童は社会科や総合的な学習の時間・理科などにおいて,調べて報告する活動を行っているが,伝えたいことの中心を考え,整理して書くために,改めて国語科の学習として位置付けた。
 
 本単元で児童は,初めて横書きのレポートという形に取り組む。ここでは事実を正確に伝え,書き手の意図を間違いなく読み手に分かってもらえる説明的な文章を書く力の育成をめざしている。そしてレポートの構成の仕方を知ると共に,横書きの場合の句読点の打ち方や数字の書き方,メモの取り方,箇条書きの仕方,校正の仕方等,言語事項についても指導する。特に組立てメモの作成については,内容を取材カードとして書き留めることで,取材と選材が段階的に行えるようにすると共に,選材したメモを使ってより分かりやすい組立てに並べ換えることができるよう設定した。

 指導に当たっては,次の諸点に留意したい。
○ どの子も学習の見通しが持てるよう,構成や記述の各段階では,個別学習前に既習の教科書教材や共通体験を例に取って解説し,理解の定着を図りたい。
○ 研究レポートを家の人や地域の人々に読んでもらおうと呼びかけることで,自分の意思を伝達する相手を常に意識し,独りよがりでない文になるよう導きたい。
○ 書くことの全ての過程において自己評価としての推敲を行う。また,友達と読み合う活動を多く設け,相互評価や他者の目を意識する機会とすると共に,対話力の育成に努めたい。
○ 文章に一貫性を持たせ、まとまりやつながりを考えて構成したり記述したりできるよう,主題文を考えさせ,書き手の主題意識が持続するような言葉がけを工夫したい。


 指導計画(総時数12時間)

第一次  教材文を読み,学習の見通しを持つ。(1時間)
       自分が調べたいことや誰を読み手とするかを決定する。(1時間)
       情報収集の手段を考え収集する。(2時間)
 第二次 調べたわけ・調べて分かったことをメモに整理し,感想をまとめる。(1時間)
       取材メモをもとに,レポートの構成を考えながら「組立てメモ」を作る。(2時間:本時1/2時)
 第三次 組立てメモをもとに「研究レポート」を書く。(3時間)
 第四次 研究レポートを読み合い,感想を伝え合う。(2時間)


 本時案

(1) 主眼
 自分の考えを明確にして主題文を書くと共に,「研究レポート」の構成を考えて「組立てメモ」を作ることができるようにする。

(2) 準備物  取材メモ・色鉛筆・のり(各自),組立てメモ(画用紙)

(3) 展開

学習活動・内容 主な発問と予想される児童の反応 教師の働きかけ
1 取材メモの内容を見直す。

・調べたわけ,したこと,考えたこと,見たこと,会話や聞いたこと,調べたこと,感想
○ 自分が「研究レポート」に書きたいことを考えて,「組立てメモ」を作ろう。
・ 調べたことを全部書かなくていいんだな。
・聞いたことが入ってないぞ。書き加えよう。
・このメモは必要なかったな。
・多過ぎたかな。
・取材メモ(短冊)を順不同に机上に並べ,重複したもの,あまり関係のなかったものを取り除き,新しく思い付いたものがあれば書き加えてよいことを伝える。

・調べたわけ,したこと,考えたこと,見たこと,会話や聞いたこと,調べたこと,感想で色分けし,片寄りがないか確認させる。

・ 調べたことを全部書こうとしている児童には,必要なものだけを簡潔にまとめるよう助言する。
2 書きたいことの中心を考えて主題文を書く。

・中心となる内容の決定
・主題文の記入
○主題文を考えよう。
・一番伝えたいのはこれだな。
・読み手に伝わるといいな。

・特に大事だと思う取材メモに,◎を付けさせる。

・例文を提示し,主題文の役割を伝える。

・◎のメモと感想を元に,主題文を作成するよう促す。 評(1)
3 選材した取材メモを事柄や意味ごとにまとめて記述順を決め,空欄に項目の題を記入する。

・まとまりの決定
・記述順の決定
・題の記入

○どんなまとまりがいいかな?
・ 「調べたわけ」「調べた内容」 「感想」に分けてみよう。
・「はじめ」には,調べようと思ったわけを書こう。
・「中」は,聞いたことや分かったことを時間順に書こう。
・「終わり」に調べた感想をまとめよう。
・この順番でいいかな。
・題は何がいいかな。
・自分の伝えたいことをはっきりさせ,書く順番通りのメモを作成することを伝える。

・まとまりを作り,書く順に番号1・2・3や(1)(2)(3)を使って整理した後,台紙に貼っていかせる。

・個々の作業を見ながら,困っている子,迷っている子の相談に乗ったり助言したり励ましたりする。         評(2)
4 友達の組立てメモのよいところを見つける。 ○友達の組立てメモを読もう。
・分かりやすくできているな。
・ここを参考にしたい。
・ここは直すといいな。
・友達の組立てメモを読み,直した方がよい所や,自分の組立てメモに必要なことを見つけさせる。
(4)評価規準:「研究レポート」の構成を考えて,組立てメモを作る。
   評価(1)自分の考えを明確にして主題文を書いているか。
   評価(2)書く順番通りに組立てメモを作っているか。




 できあがった組立てメモ
   (◎は一番伝えたいこと

(1)K児
一番伝えたいこと  オオカミは汗をかかずに舌で体温調節をすることをみんなに教えてあげたい。
はじめ  肉食だから。動物園で見たオオカミは、たくましく、かっこよかった。(調べたわけ)
調べたこと  友達に聞いたら、オオカミを好きな人は10人中8人だった。嫌いなわけは、ほえるから。(調べたこと)
 ニホンオオカミは1905年に絶滅した。(調)
 住んでいる地方によって大きさや色などに特徴がある。(調)
びっくりしたこと ◎オオカミは汗をかかない。(調)▼
◎オオカミは舌で体温を調節する。(調)
▼ オオカミはライトに当たると目が光る。(経験したこと)
▼ オオカミは日本の子どもくらいの背(調)
▼ オオカミはコヨーテに似ている。(見たこと)
▼ オオカミはシェパードに似ているが耳が大きい。(調)
終わり
 オオカミはやっぱり強くてかっこいい。(感想)
 コヨーテとどっちが強いのかな。(考えたこと)

(2)F児
一番伝えたいこと  犬がとてもふしぎなことをみんなに知ってもらいたい。
はじめ  私は犬が大好きなので、犬のことをもっと知ろうと思って調べた。(調べたわけ)
 犬はにおいで何から何まで判断する。(見たこと)
 犬は水を飲む時、舌をスプーンのようにして飲む。(見)
◎犬は耳もよく聞こえない。(調べたこと)
◎犬はドッグフードの味が分からない。(調)
 犬は人間より100倍も嗅覚が鋭い。(調)
 スタンダードプードルはプードルの中で歴史を持つ犬である(調)
 パピヨンはイギリスの人が改良した犬(調)
 チベタン・スパニアルは100年の歴史を持つ犬(調)
 カンガル犬はとても大きくてとても凶暴(調)
 シェパードは何と!ニオイが4億くらい分かる。(調)
 ブルドッグはちゃんと洗ってやらないと病気になる。(調)
 ピジマン・プリーゼは、「愛くるしい巻き毛」という意味で付けられた名前である。(調)
 スキッパーという犬はフランダース地方にいて牧羊犬を小型化したもの(調)
◎前、祖母が飼っていた犬が年を取るにつれて誰が来てもほえなくなった。(経験したこと)
終わり  犬は目がよく見えないなど、いろいろなことが分かって奇想天外だった。(感)
 私は犬が耳がよく聞こえないことにびっくりした。(感)


(3)A児
一番伝えたいこと  セブンイレブンは、日本一のコンビニらしい。
調べたわけ  見学に行って分かったこともあるけど、もっと知りたいこともできたから。(調べたわけ)
見学して分かったこと  セブンイレブンのマークが変わっていた。(見)
 セブンイレブンには、監視カメラがあった。(見)
 レジの人が笑顔であいさつしてくれた。(見)
 駐車場が広い。(見)
店員さんの話  品揃えがよい。(聞)
 酔っぱらいは困る。(聞)
家族に聞いたこと・インターネットで調べたこと  品物が安くて、買いやすい。(聞)
 700円でくじもできる。(聞)
 セブンイレブンは外国にもある。(聞)
◎セブンイレブンは、日本一大きいコンビニ(調)
終わり  ローソンよりカードが当たりやすい。(思)

→ 調べたこと・感動したことをあれもこれもと欲張って書こうとしていた子が多かった。必要なことだけを精選するよう助言した。

→ 整然とした項立ては、どの子も最初、充分にはできていなかったが、それでも自分なりにまとまりを考えて取材カードをまとめていた。書く経験・読む経験が重なれば、項立てもうまくなって来るものと期待したい。

→ ◎を付けた内容と、終末文の内容が合わない子どもが少なくなかった。主題意識を持続させる手立てを今後も考えていきたい。

→ 初めての横書き体験であったが、事前に音読や全文写し等に取り組んでいたせいか、特に支障もなく、記述することができた。




 参観者の感想
 ワークシートに伝えたい相手と主題分の欄があったことで、伝えたいことが明確な文章になると思いました。ワークシート、私も今度やってみます。
 個々の児童に対する先生のきめこまやかで温かい言葉がけに、日々の自分を反省しました。認めてやらなければと思いつつ、つい・・・。
 取材メモに◎をつけさせる前に、主題文を書かせると、子ども達の混乱がなかったかと思います。
 1年生の時より(当たり前ですが)随分成長して学習している姿に感動しました。
 とても静かですね。先生への質問も、友達同士の助言も小声ですし、先生の話もよく聞いていることに感心しました。
 「レポート作成」なんて、とても高度な内容ですが、それぞれに興味を持っていたことを調べ、それをまとめる作業に喜んで取り組んでいました。
 先生の「〜できる?」「〜していい?」と、ひとつひとつ優しく確認する言葉が素敵だなと思い、早速真似させてもらおうと思いました。


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