あなたが主人公 〜U〜(4年:保健)

1 ねらい 
 月経や射精がホルモンの働きによって思春期に発現する生理現象であると知ることを通して、今後の成長に見通しを持ち、自分のからだを肯定的に受け止めることができるようにする。

2 準備 
 人体図・内性器の絵(男女)、月経用品(月経用ショーツ、ナプキン、タンポン)、卓上カレンダー、

3 展開
学習活動・内容 指 導 上 の 留 意 点
1 前時の学習を想起し、本時の課題をつかむ。 ○人体図を提示し、前時に学習した思春期に発現する様々なからだの変化を想起することができるようにする。
自 分 の か ら だ を 知 ろ う
・脳下垂体、ホルモン
・初経、精通
(発)他にはどんな変化が起こるのかな?
○脳から出たホルモンが卵巣や精巣に働きかけ、からだにいろいろな変化をもたらすことを話す。
2 月経の仕組みを知る。
・日数、周期、経血の量と色
・月経痛
・手当の仕方、月経カレンダー
・生活の仕方
○月経の概要を説明する。
○月経はいつどんな時に始まるか分からないので月経用品の準備が必要であることや、その使い方・持ち運び方、月経カレンダーの付け方、下着の処理法等を示す。
○月経は健康のバロメーターであり病気ではないが、不快になることもあるので入浴や体育の授業は自分の状態を見て自分で判断するよう伝える。
3 射精の仕組みを知る。
・勃起、射精が起きる時(マスターベーション・夢精・遺精・性交)
・夢精と夜尿、遺精とおもらしの違い
・個人、年齢、体調の違い

○射精の概要を説明する。
○ペニスは成長に伴い太くなり皮がむけやすくなることに触れると共に、清潔のため時々は入浴時などに皮をむいて洗うよう投げかける。
○精通の時期や回数、精液の量、濃度などは個人や年齢、体調によって異なることを伝える。
4 これから気を付けたいことや感想をまとめる。 ○月経も射精も大人のからだに成長した証拠であることを再確認し、女性には女性の、男性には男性のエチケットがあることを伝える。
○からだの成長に関する悩みや疑問があれば受け止める。
(評)自分のからだの成長に見通しを持つことができたか、ワークシートの記入によって捉える。


4 子供の反応
・精巣と卵巣のことが前よりよく分かった。(男児)
・これからの変化が分かった。(急になっても)これでびっくりしない。(男児)
・1回に3億個も出るなんてびっくりした。信じられなかった。(男児)
・恥ずかしがっていたら、ちゃんと手当できないと思った。(女児)
・先生が○○○の絵を見せたので、(恥ずかしくて)あまり黒板の方を見なかった。(女児)
・自分のことが分かって楽しかった。(女児)
・男子のことも女子のこともよく分かった。(男児)
・自分のからだがこんな形をしていたのでびっくりした。(女児)
・男の人が女の人のワギナにペニスを入れるのを初めて知った。(男児)
・この前よりさらによく分かった。なぜ血が出るのかも分かったし、男性のからだのことも分かって楽しかった。(女児)
・今日の学習も前と同じで、からだって不思議だなーっと思った。(女児)
・子供が生まれる時のことが分かった。(男児)
・自分のからだがあんなになるなんて思いもよらなかった。大人ってすごいと思った。(女児)
・月経になってもお母さんには言いにくい。ごく普通に生活したい。(女児)
・人に気づかれないようにトイレに行きたい。(女児)
・コーナーポットが何か分かった。のぞいちゃいけない。(女児)
・犬の月経を見たことがある。自分でなめていた。(男児)
・野菜をちゃんと食べたい。(女児)

5 授業を終えて

・授業中の反応(上記)や授業後の会話などから、多くの子供が初経や精通を大人に近づく大切な一歩として捉えていたように思う。このことは、自分への誇りや肯定感、成長への期待感を育てていく上で重要な成果だったと感じている。
・また、思春期に起こる身体の変化を、常に女子と男子とで対応させながら取り上げたことで、自分以外の性への理解や共感を育むことができたのではないかと思う。
・勃起の説明では、精子を確実に子宮に送り届ける必要があることなどから、人間の性交や、動物の交尾や交接等についても話が盛り上がった。子供たちは、それぞれの動物の暮らしに合った生殖行動に感心したり驚いたりしながら、終始熱心に学習した。
・古い資料なのだが、「モノグラフ・小学生ナウ性成熟」(1990年福武書店)によると、「初経という性成熟のサインを喜べない子供が70%」もいるという(ついでに言うと、「娘の初経を喜んでくれない母親が40%」もいるらしい)。また、ヤングテレフォン等に寄せられる男児の電話相談では、ペニスやマスターベーションに関する相談が常にトップに挙げられるという。これらの資料は、子供たちの不安を取り除き、自分の成長を素直に喜ぶための学習が、いかに学校教育の中に位置づけられていないか、またこうした学習がいかに必要かということを、如実に示す資料だと思う。男児が自分の性と初めて向かい合うのが売り上げ至上主義のポルノティックな雑誌から・・・というのでは、教師として、あまりに情けなく思う。子供の疑問や悩みに応え、子供が自分の将来を展望できる性教育を、また子供たちが自己決定しながら主体的に生きていく力を引き出す性教育を、これからも目指していきたい。

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