森のしきしゃ(3年:道徳)

【資料】
誰からも声をかけてもらえない、黒くて声の汚いカラス。
そのカラスが、森の音楽会に向けて1日も休まずバイオリンの稽古に励んでいた。

音楽会が近付いたある日、それまで練習に来なかった動物達が集まり始めた。
しかし、まとまりがなく曲にならないので、ウサギの提案で指揮者を決めようということになる。

大きくて力の強いクマが、背中に乗っていたネズミから、
スタイルが良く着飾ったキジがシカから、
頭のいいサルが、いつも勉強を教えてもらっているオウムから推薦された。
3人とも、今まで練習には出てきていない。

そして一生懸命練習し、一番バイオリンが上手なカラスもリスから推薦された。

しかし、同じ鳥の仲間のスズメやツバメはカラスには反対だ。
カラスが指揮者になったら自分達が恥ずかしいと。

すぐには決まらないので、指揮者の決定は1週間後ということになる。

推薦後、クマやキジ、サルはいい気分で森を歩き回っているが、
カラスは朝早くから夕方遅くまで、木の上で力一杯指揮の練習を始めた。

5日が過ぎた頃、森の仲間達が楽器を持ってカラスのまわりで音を合わせ始めた。
そこには、スズメやツバメもいた。


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推薦されたのが嬉しくて・・・というくだりはあるが、
その他にはカラスの心情描写はない。
カラスに同情や共感を促すこともなく、終始、淡々と話は進行する。

子ども達は、この話によってどんなふうな気付きをもつのだろう。

誰に共感するだろうか。



【導入】

 「スネ夫はなぜジャイアンの機嫌を取るのかな?好きなのかな?」そう問いかけると、すぐに「いいや、好きじゃないよ。」と答えが返ってきた。「じゃあなんでいつも機嫌を取っているの?」と言うと、「怖いから。」とか、「殴られるから。」「面倒くさいから。」など、いろいろな理由を想像していた。

 本当に信頼しているわけでもないし、ジャイアンが正しいわけでもないのに従うんだね・・・と確認。

 資料は登場人物が多く、読み取りに時間をかけたくなかったので、音読の前に登場人物を紹介・整理した。そして音読。
 


【展開】


 音読の後は、まず誰の気持ちが変わったのかを確認した。そして、ツバメやスズメは初めは嫌がっていたのに、なぜ練習に参加したのか考え、初めはペアで意見交換、そして全体で話し合った。

 この時の子どもの意見は、
○ カラスが熱心に練習していたから。
○ カラスは一度も休まず、みんなが帰っても練習していたから。
○ カラスの様子を見ていた人がいて、見ていた人が増えていったから。
○ 力一杯、せっかく練習したから。
○ かわいそうだったから。
○ それが実力だったから。     などであった。

【終末】


 自己評価カードを配布し、ネズミやシカ、オウム、ツバメ・スズメのように見かけや好き嫌い・打算などで行動したことはなかったか、自分の生活を振り返るよう指示した。

 考えにくい子どもには、どの動物の行動が印象に残ったか書くよう促した。
 子どもの反応は以下の通りである。



 【ツバメやスズメから学んだ者】
 (ツバメやスズメみたいに)嫌な人がいたらすぐに文句や悪口を言うから、嫌いな人でも悪口や文句を言わないようにする。


 (ツバメやスズメは自分のしたことを反省したので)私もお母さんとかに、きれいな言葉を使っていなかったことを反省したい。

 その人の実力を知らずに文句を言ったりしているかもしれないから、そういう所を直したい。


 私は前はツバメやスズメみたいだった。今度からは実力で決める。

 足が遅い人でたくさん練習をしている人の気持ちを分かっていなかった。


 【カラスの勤勉さと自分を比べて気付きをもった者】
 私はカラスみたいにあまり熱心にやったことがないので、カラスみたいになりたいなと思った。
 
 習い事を面倒くさいという理由で休んでいたけど、これからは熱心に頑張っているカラスさんを見習っていきたい。

 私はいつもサルみたいに習い事を休んでいるのでそれを直したい。


 ちょっとサボっているからきちんとしたい。

 カラスみたいに練習をしていなかった。カラスと違ってだらだらしているから反省する。
 
 僕はスイミングをサボらずにしているので良かった。

 
 水泳の時、ぼーっとしている時があるから、これからはぼーっとしないように頑張る。
  
 私はカラスさんみたいに一度もピアノのレッスンを休んだことがないけど、カラスさんみたいに一生懸命で熱心に練習したことがなかったから、次からは一生懸命ピアノの練習をしたり頑張りたい。


 【ウサギやリスの優しさ・公平さから学んだ者】
 私は年下の人に、自分にできて年下の人にできないことをやっているので、もうちょっと優しくしたい。


 僕は弟に意地悪をしているから、今度から意地悪をしない。  
 兄に時々いじわるをしているので、そこを反省する。

 妹にやられたらやり返していたけど、もうやり返さないようにしたい。 

終末の自分を振り返る活動の時、書き始めるまでに時間のかかった児童が多かった。

週に1度の道徳だが、自分を客観的に見つめる経験を確実に進めていかなければ、
無反省で気付きのない、感性の鈍い人間になってしまう恐れがなくもないなと、
改めて道徳の時間の貴重さを感じた。

今回の資料では、誰に共感をもつかということも子どもによって様々であったので、
ツバメやスズメに着目させようとせず、
初めから、「誰の行動が印象に残ったか」という投げかけで良かったかもしれない。

そして、それぞれの気付きの違いを共有する時間がもてれば、更に良かったと思う。
グループ活動も、自己への気付きを勇気をもって伝え合う場面を設定し、そこで用いれば良かったと反省した。

今後は、自己評価カードへの記入をもとにした、道徳的実践意欲が高まる個別の児童への声かけを、
できるだけ行っていきたいと思う。


【活動2:グループでの話合いの様子】

 

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