少数派でも大丈夫!(第5学年:道徳 
<第1/2時・2/2時>

1.ねらい           
  違いを尊重し、違いが不利にならないように工夫して生活しようとする態度を養う。

2.準備 
  命令カード(多数派9割・少数派1割)、ワークシート、クリップボード、鉛筆、大判紙、マジック、マグネット

3.展開

学習活動・内容 指導上の留意点
1.グループ内で自己紹介する。
(20分)
・同じが少ない人=少数派
・同じが多い人=多数派
・少数派でも多数派でもある自分の認知

○ 「私は」「僕は」で始まり、「です」「と言われます」で終わる文章をワークシートに10個書くよう促す。
○ 書いた中のいくつかの文章を選んでグループ内で自己紹介させる。
○ 住所や氏名・性別・年齢等の、友達が知っている外部的な条件以外で紹介するよう指示する。
○ どのような文章が多かったか、また少なかったか振り返り、一人の人間でも、少数派・多数派のどちらにもなり得ることを確認する。
2.多数派・少数派を体験する。(25分)
・多数派の優越感
・少数派の心細さ

○ 多数派用と、全く違う行動をする少数派用の命令カードを全員に配り、命令に従うよう指示する。
○ 多数派・少数派それぞれを経験した感想や暴力的なことでも従ったかどうか、それはなぜかをワークシートに記入させる。
○ ワークシートを元にグループで感想を発表し合うよう促す。
3.学級・学校・社会にある工夫を探し、紙に描く。(30分)
・柔道、ボクシング等の配慮(重量別の対戦)
・外国語の標識、音で知らせる信号機、車椅子用スロープ、左利き用はさみ・包丁・彫刻刀、郵便局にある老眼鏡 等
○ 能力に違いがある人たちが、平等に競い合えるスポーツ等を紹介し、違いが不利にならない工夫が世の中には様々に存在することを知らせる。
○ 少数派の人に不利にならない工夫を見つけ、グループごとに絵や文で用紙に描くよう促す。

○ なるべくたくさんの工夫を見つけるよう投げかける。工夫が足りないものがあったら、どうすれば解決するかを考えて描くようにさせる。
4.本時を振り返る。(15分)
・分かったこと・気付いたこと
・BHN 
○ どんな少数派の人にも、BHN(Basic Human Needs:人間の基本的欲求)が保障される権利があることを知らせ、数の優位に甘えたり、数の劣位に悩んだりすることなくフェアに生きる大切さを伝える。


4.資料
○ 命令カード
 ・多数派用…ウルウル(ぴょんぴょん飛び跳ねる)、ふむふむ(隣の人と握手する)、
         ンゴング(首をかしげる)、シラシラ(違うことをしている人を指さして笑う)
 ・少数派用…ウルウル(頭をかく)、ふむふむ(手を引っ込める)、
         ンゴング(違う事をしている人を指さす)、シラシラ(しゃがむ)
○ ワークシート
 ・命令ゲームをした感想を書きましょう。
 ・もしも、「違う行動をしている人の頭をたたきなさい。」という命令が書いてあったら従いますか?
 ・少数派はどんな気持ちかな?多数派はどんな気持ちかな?

5.授業記録
<活動1>
○ ここでは自分らしさを、好きな食べ物や遊びを挙げて紹介する子供が多かった。同じ人が少ない場合には少数派、同じ人が多い場合には多数派と呼ばれることを伝え、同じ人間でも、少数派にも多数派にもなり得ることを確認した。
 
<子供の反応>
・ぼくはゲームが好きです。(多数派)
・嫌いな食べ物はトマトです。死ぬほど嫌いです。(少数派)
・私は発表が苦手です。(多数派)
・私は絵を描くのが好きです。(多数派)
・ぼくは外人と言われます。(少数派)
・私の将来の夢は水泳の先生になることです。(少数派)
・私の好きなスポーツは、走ることと水泳です。(少数派)
・ぼくはサッカーを習っています。(少数派)
・私の将来の夢は看護婦です。(少数派)
・私は算数が苦手です。(多数派)
・ぼくは母に料理がうまいと言われています。(少数派)
・ぼくは買ったゲームでクリアしたことがありません。(多数派)


<活動2>
○ このゲームは予想通り、大にぎわい。キャアキャア言って楽しんだ。
 気持ちの振り返りでは、多数派の子供たちは「楽しかった。」「やりたくなかったけど命令だから仕方ない。」、少数派の子供たちは、「寂しかった。」「恥ずかしかった。」等の感想を発表した。
○ ワークシートの、「『もしも違う行動をしている人の頭をたたきなさい。』という命令が書いてあったら従いますか?」という設問では、多くの子供が「従わない」を選択した。「命令だから従った」という前問の回答と矛盾することを指摘すると、他のことならいいが暴力には従えないと答える者が多かった。そこで、指さして笑うのも人を傷つける行為で暴力なのだということを話すと、少し神妙な顔つきになった。集団心理の実験の話にも、さらりと触れた。
 
<子供の反応>
・みんなでやったので楽しかった。多い方が安心する。(多数派)
・少数派より多数派の方がいい。(多数派)
・多数派は気持ちがよい。勝った気がした。(多数派)
・○さんと△さんだけが、どうして違ってるんだろうと思った。(多数派)
・他の人がいるから「よかった〜、一人でなくて」と思った。(多数派)
・いじめている感じでいやだった。指さして笑うのはかわいそうだった。(多数派)
・寂しいし恥ずかしい。(少数派)
・少数派の人がかわいそうなことがわかった。多数派の人はすごい人数で責めてきそうな感じでこわかった。(少数派)
・ぼくも少数派になるかもしれないので、どんな人ともいたわり合っていかないといけない。(多数派)
・命令でやった時楽しかったけど、ほんとはやってはいけないことだ。(多数派)
・少数派はいやだな。(多数派)
・自分だけ仲間はずれにされてる気がした。(少数派)
・少数と多数に分かれるのはどうしてもなるけど、なくした方がいいなと思った。
・命令はよくない。大勢で少ない人に何かするのもよくないと思った。


<活動3>
○ 多数派が思い通りにしようとするのは、数の横暴でフェアでないことを伝え、障害者競技のルールや社会の中に存在する少数派への配慮を2,3例示した。他にはないかとの問いかけに、グループで話し合いながら考え、大版用紙にまとめていった。
○ ここでは、少数派の具体像をあえてイメージせず、自由な発想で考えさせるようにしたのだが、子供たちは自然と障害者や老人に焦点を絞っていった。
<子供の反応>
・入れ歯・カツラ・車椅子用トイレ・点字ブロック・ノンステップバス・盲導犬・エレベーター・白い杖・黄色いハンカチ・手話・階段の手すり・車椅子・養護学校・マヨネーズやケチャップの容器の点字・補聴器・義手・義足・音の出る信号機・電動ベッド・シルバーシート・眼鏡・老眼鏡・リフトカー・介護用グッズ・電車の車内にある車椅子用スペース・訪問介護・60才からでも入れる保険・ポリデント


<活動4>
○ 人の考えに惑わされず、工夫してフェアに生きていくことの大切さを話し、授業を終えた。
<子供の反応>
・体の不自由な人に、いろいろなことをしているんだなぁと思った。
・世の中よくできているな。
・少数派の人に役立つことがしたい。
・何か不自由な人がいたら助けてあげたい。
・絶対に少数派の人をいじめたり、悪口を言ってはいけない。
・少数派の意見も大事にしなきゃいけないと思った。
・少数派でも多数派でも、自分の考えをきちんと持たなければいけないと思った。

<参観後の保護者の感想>
自己紹介の「私は〜が好き」という部分で、子どもたちは多数意見・少数意見ということについて、普段は少数意見を無視しがちだということに改めて気付いたと思う。
外国の人を差別しないようにということは言っているが、60代くらいの人たちが、中国や朝鮮の人たちを差別しているのを見て、子どもたちがどう思うのか気になる。
自分の意見が少数派であっても発表できるクラスの雰囲気がいい。
・多数派になっても少数派になっても自分というものを見失わない子であってほしい。 

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