・・きんのおの(2年)・・  〓
イソップ

 【資料の内容】
 「正直な木こり」には、自分が落とした鉄の斧の他に、金の斧・銀の斧が神様から与えられ、それを羨んで自分で斧を湖に投げ入れた嘘つきの「隣に住む男」は、粗末な鉄の斧さえも神様に拾ってもらえなかったというイソップ寓話


 【授業前の私の心配】
@ 正直者は徳を積み、「信用」という得を得るが、物質的な得が表現された「きんのおの」を資料とすると、児童は「正直は得」「得をするために、正直は良いことだ」と浅い理解に留まらないだろうか。 

 得になろうとなるまいと正直に生きていれば、自分を温かく認めてくれる人がいて、「信用」をしてもらえる、それが大事なんだという話が、2年生の子ども達にうまく通じるだろうか。

 こんな心配を抱えたままに、道徳の時間が来た・・・・





1 ねらい
 嘘をついたりごまかしたりすることは、人として恥ずかしいことだと感じることができる。(1ー(4))

2 学習の流れ
○ まず、今までに知った様々な嘘を紹介し合わせ、嘘には、人を傷つけたり困らせたりする嘘、ごまかすための嘘、人を安心させるための嘘など、いろいろな嘘があるということを確認させた。
 そして、本時では、人をごまかし自分が得をするための嘘について考えることを知らせた。

○ 「きんのおの」を一斉読み。この時、神様の気持ちを考えながら音読するよう指示した。

○ 「私のおのです。」と言われた時、神様はどう思ったか、またそう言った二人に何が言いたかったか、ワークシートに記入させ、発表させた。(評価ア)

○ 本時の気付きや感想をワークシートに書かせ、本時を振り返らせた。(評価イ)


3 評価
ア ごまかしの嘘が見苦しく、人を失望させるものであることに気付いたか、発表やワークシートへの記入によって見取った。

イ 嘘をつかず、誠実に生きる大切さが分かったか、ワークシートへの記入によって見取った。


 
 【授業後の私の感想】
 神様の視点だけで授業を流したのだが、これで良かったのかと、疑問が残った。

 なぜ神様の視点だけに焦点を絞ったのかというと、資料中の「正直な木こり」にも「隣に住む男」にも、迷いはなかったからだ。

 「正直な木こり」は、金や銀の斧を見せられても、ちらりとも「もらっちゃおうかな?」なんて考えていないし、「隣に住む男」も、「こんなことしていいのかな?」などと微塵も感じずに斧を湖に投げ込んでいる。だから、2人の心情を考えさせるのでは現実味がないと考えた。

 しかし、迷いを見せていないからと言って、行動したのは2人なのだから、「金銀の斧がもらえた木こり」の仕事への意欲だとか、「自分の斧さえも拾ってもらえなかった嘘つきの男」の後悔などにも触れれば良かったなと後で思った。

・・・・と、授業前も授業後も、迷いだらけの「きんのおの」だった。教材研究に勤しみます!


【子どもの反応〜発表とワークシートより〜】

@ 神様が「正直な木きこり」に言いたかったこと
 あなたはとても正直な人だ。正直者には何でも差し上げる。正直な人に会えて良かった。

 あなたは正直ですね。嘘をつかなくて素晴らしいです。
正直はいいことだから、金の斧も銀の斧も渡そう。
 
  感心感心。この人はとても正直なきこりだ。正直だから金の斧と銀の斧をあげよう。

 あなたは嘘をついていないから、死んだら天国に行かせてあげよう。

 この人は正直だなぁ。正直だから全部差し上げよう。
 
 正直な木こりだな。金と銀の斧を見せても違うと言って正直だから、両方あげよう。

 今度は落とさないんだよ!!


@ 神様が「隣に住む男」に言いたかったこと
 なんてやつだ。嘘をつくなんて許さない。落とした斧も返さないぞ。嘘つきには何も与えないぞ。
 
 わざとだな。全部あげないぞ。
 
 この人は嘘つきだ。嘘つきだったら後で自分が困るぞ。わざと湖に入れたから、斧は返さない。

 あなたは嘘をついている。地獄に落とそう。

 あなたは嘘つきですね。嘘をついた人は閻魔大王様に舌を抜かれますよ。

 嘘つきだな。もう渡さないぞ。

 嘘をついたから、二度とおまえと顔を合わせん。

 何でまた落ちてきたんだ?さっきも落ちてきたのに、今度は絶対嘘だな。また落ちてくるわけないもん。


@ 学習して分かったこと、考えたこと
 嘘はこれから絶対つかない。いっぱい嘘はついたことはあるけど、それはもうやらない。人を困らせる嘘はつかない。

 嘘をついたら神様が怒る。嘘つきは泥棒の始まり。
 
 嘘をついたら神様が怒ってしまうから、嘘はいけないんだな。嘘をついたことがあるから地獄に行かないようにしないといけないな。絶対に嘘をつかないようにしないといけない。

 ぼくも嘘をついたことがあるけど、もう二度と嘘はつかない。

 私は嘘をついたことがある。でもこれからは正直な木こりみたいに嘘をつかないようにする。後で後悔しないよう、嘘はつきたくない。

 嘘をついたことがあるので、嘘をついた「隣に住む男」と同じなので、今から気をつけていきたい。正直な人になります。

 嘘をついたら後で自分が困るし、もう誰にも信用されないから、嘘をついたらだめなんだなと思った。隣に住む男は嘘をついていたから、今度からは嘘をつかないでほしいと思う。

 嘘をついた後、自分が困るから嘘はいけないと思った。たまに嘘をつくけど、この話を聞いて嘘をついたら困ることが分かったから、もうごまかしたり嘘をつかないように気を付けたい。

 お天道様が生きているんだと分かった。嘘をついたら地獄に行くと分かった。
 
 嘘をついたらいけない。正直がいい。ごまかしたら地獄に行くんだな。正直だったら天国でお菓子を食べれるんだなと思った。

 正しい人が天国に行くというのは本当の話だったんだ。嘘をついたことがあるから、次からは気を付けたい。

 いろいろな人をごまかし嘘をつくと、いろいろ仕返しが来ることが分かった。嘘をつかないように気を付けたい。楽しく過ごせるように頑張りたい。

 嘘をついたら地獄に行くとか、閻魔大王に舌を抜かれるとか、そんな話を大人から聞いたことがある児童がいて、知らなかった児童は震え上がった!!

 この時期の子ども達はまだまだ他律的な価値判断が多いので、良きにつけ悪しきにつけ、環境がいかに子ども達を育てるかということに、今更ながらに驚かされた。だからこそ、幼児〜低学年期の教育の役割は重要なんだと改めて感じた。

 それともうひとつ。「正直者が得をする」世の中を目指さないと、大人は子どもに顔向けができないと、そう思った。


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Last Update : 13/Dec/2014
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