「いろいろな家族」(第4学年:学活)

〈授業のねらい〉
みんな違って当たり前■
それぞれの家族の多様な生き方を、ありのままに受け止める感性を養う。

<指導の立場>
 子供にとって家族とは、多くの場合生涯で最初に出会う社会集団であり、毎日の生活に密着した小集団である。それゆえ個々の家族のもつアイデンティティは、子供の人格形成と密接なつながりを持っており、子供の自尊感情や自己肯定感・自己否定感などの感情も、彼らなりの家族観を土台に形成されていると考えられる。
  現在、少子・高齢化、一人親家族やステップファミリーの増加、家族による児童虐待やドメスティック・バイオレンスの問題など、家族に関わる状況は、加速度をつけて変化している。そのため従来型の、例えば血縁のある両親が揃っていることが家族の最低条件ででもあるかのような固定的な家族像を求める感情は、場合によっては現在と将来を自分らしく生きることを阻害したり、その基準に合わない家族を差別視したりする感情へと発展する危険性を秘めている。それぞれの家族の多様な生き方を認め、どんな環境の中でも精一杯生きることの大切さを学ぶ学習が、小学生のうちから適切に繰り返される必要があるのではないだろうか。
  そこで本活動を設定し、家族の様々な形態や様子を知った上で、共感をもって考える活動を通して、それぞれの生き方を、ありのままに自然に受け止めることのできる感性を養うよう支援することとした。これからますます多様化するであろう家族について考え合うことは、今後の自分の人生をどう生きるか、自分らしさをどう創るかについて考える礎ともなる大切な学習であると考える。
指導に当たっては、子供たちがこれからの自分への期待と希望を育んでいけるよう、次の点に留意した。
・ どんな家族の中でも、全ての子供には健やかに育つ権利があることを繰り返し伝え、ステップファミリーの子供はもとより、施設で暮らす子供、家族に障害者のいる子供、保護者との信頼関係が築けないでいる子供など、家族にネガティブなイメージをもつ可能性が予測される子供たちが、自分の家族や人生を悲観的に捉えることがないよう配慮する。
・ 多くの場合、子供は家族を選べないが、その形態は固定的なものではないことや、その中でよりよく暮らす工夫が大切であること、将来は自分の判断で家族を築くことができること等を伝え、自分の生を主体的で前向きに捉える感性を養う。
・ 子供たちが自分なりの疑問を追求したり、自分なりの感じ方をのびのびと表現したりできるよう、単元を通して個別作業や5〜6名のグループ活動を中心とし、充分な活動時間を保障する。
・ 子供たちが、資料中の人々の気持ちに共感し、我が事として受け止めることができるよう、資料には、同世代の子供たちの葛藤を中心としたものを選定し、その提示も、子供たちの関心を高める提示を工夫する。
・ グループやクラス全体での活動がスムースに進むよう、日常よりロールプレイや話合いの仕方に慣れさせておく。 


〈指導計画〉
理解から共感へ■
価値ある自分、価値あるみんな■

《第一次》
 家族に関する考えを尋ねた事前調査(プリント)の結果を元に、家族とは何なのか、どんな集まりを指すのか等、知っていることや疑問に思うこと等を話し合う。

《第二次》
1 テレビ・新聞・本などによって、様々な家族の形態について調べ、発表し合う。
2 離婚を扱った絵本(アンジェラ=グランゼル文・山本 直英訳「離婚」ポプラ社/高柳美知子文「性の絵本4」 大月書店)の読み聞かせや、代理母や卵子ドナーについての新聞記事の紹介をし、世の中にある様々な家族の形態に気付くようにする。

《第三次*本時》
1 三つの資料(ステップファミリーや一人親家庭の子供の悩み、病気の養子を迎えた両親の気持ち)を読んで、 ワークシートに、当事者たちへのアドバイスを書く。
2 ワークシートに書いたことを元に、それぞれの家族の抱える問題が少しでも解決に近付くようロールプレイする。
3 本時を振り返り、感想を持つ。

《第四次》
 今後の自分の生き方の手がかりを探り、将来への希望を持つ。

〈本時案*第三次〉
(1)ねらい
  三つの家族の悩みに寄り添い、解決を考える活動を通して、互いの思いを尊重しながらよりよく生きることの大切さに気付く。
(2)準備   提示用写真、時計、学習プリントA・B・C(児童数分)
(3)指導過程

学習活動・内容 指 導 上 の 留 意 点
1 資料の内容を知り、本時の課題をつかむ。(5分)
・ステップファミリーの子供
の悩み…A、B
 ・養子家族の生き方…C
○ 3枚の写真を提示し、資料の内容への関心をもつことができるようにする。
○ 3つの資料の内容を紹介した後、考えてみたい資料を自由に選ぶよう促し、配布する。
どうしたら、心を満たすことができるだろうか。
2 資料を読んで、感想や自分の考えを書く。 (10分)
・気付いたこと、思ったこと
・資料中の人物に言ってあげたいこと(励まし・アドバイス)

3 各グループでロールプレイ する。(15分)
 ・A…アンと友達
 ・B…ジョージと友達
 ・C…自分と叔父(叔母)
 
・演技についての気付きや感  想のシェアリング(5分)

・グループ代表の演技(5分)
          
4 本時を振り返り、感想をも つ。 (5分)
・健やかに育つ権利
・他者の生き方の尊重
・相談することの大切さ
(発) 資料をよく読んで、感じたことや言ってあげたいことを書いてみましょう。
○ 分からないことがあったら、教師に適宜質問するよう促す。
○ 最初に選んだものと別の資料で考えたい子供がいれば認める。

○ 同じ資料を選んだ者同士で集まり、2〜3名ずつのペアになり、役割と大まかな設定を決めるよう指示する。 
○ 学習プリントへ記入したことを生かしながら、3分程度ロールプレイするよう伝える。
○ 演技の始まりと終わりを揃え、全員が落ち着いた態度で演じたり見たりできるよう配慮する。
○ 役割を交代し、いくつかのペアで行わせる。

○ 自分自身への気付きを深め、友達の考え方との違いに気付くことができるよう、演技を振り返って気付いたことや感じたことをグループ内で表現し合わ せる。
○ 各グループで代表を選ばせ、全体の場で発表させる。
○ どのような家族の中にあっても全ての子供は健やかに育つ権利があることや、心配事があれば身近な誰かに相談することが大切であること等を確認する。

○ 本時の感想をワークシートに記入させる。
(評) 互いの生き方を尊重し、他者とよりよい関係を築こうとする心情を培うことができたか、学習プリントへの記入によってとらえる。

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<本単元の記録>
みんなもってる幸せになる権利■

《第一次》
 事前に記入した学習プリント(様々な集団が描かれている)の結果を知らせ、それぞれ自分はなぜその集団を選択したか、しなかったかを発表し合った。話し合ううちに、家族には「血のつながり」だけでは説明できないつながりがあることに子供たちは気付いていった。そして同時に、血がつながっていても心の通わない家族もあるのだということや、家族には形だけでなく、いろいろなありようがあることに、おぼろげではあるが気付くことができたようであった。

《第二次》
 ・ TVで視聴したものや本で読んだことなど、数人の子供が発表した。図書室でもいろいろな本を探してみて、様々な形態の家族があることに気付くことができた。
* どんな家族だったか。
 ・ひとりで暮らす人(TV)
 ・おなかから下のない母親が、誰の力も借りず子育てをしていた。手だけで運転し、車の乗り降りをし、 スケボーでお店の中に入っていった。(TV)
 ・戦争で離ればなれになった家族(TV)
 ・貧乏な家族や大金持ちの家族、悲しい家族、楽しい家族がいた。(本)
 ・養子をかわいがらず、養子に親が殺された。(TV)
 ・動物と一緒に暮らしていた。(TV)
 ・仕事をするために、母親が遠いところに行き、具合が悪くなり、子供のマルコは母をさがして旅に出た。(本)
 ・夫婦のふたりともが障害をもっており、お手伝いの人が一日中来ていた。(TV)
 ・白雪姫、ヘンゼルとグレーテル、シンデレラ姫、ヘレン・ケラーとサリバン先生

* 家族さがしをして思ったこと
 ・離婚しても幸せになる人もいる。
 ・障害をもった人と暮らす人もいることが分かった。
 ・昔の家族は人数が多かった。
 ・家族が離ればなれになると悲しい。
 ・いっしょに暮らしてるといやなこともあるけど、離れると悲しいからずっといっしょがいいと思った。


・ 調べ学習の後、資料を提示し、本の読み聞かせを行った。これまでに、「家族とは血のつながりだけではない」と確認したものの、代理母や卵子ドナーについての記事を見て話し合った際には、やはり子供たちには血のつながりこそが最優先の問題なのだと感じられた。血のつながりのない様々な家族を、より多く紹介できるとよいと感じた。


《第三次*本時》
 ロールプレイは、子供たちの考えを引き出すのに大変有効な手段だった。どの子もそれぞれの問題を解決させるための方法を真剣に考え演技した。
@ 感じたこと、気付いたこと
(A)
・この子の悲しみがよく分かる。
・もし私だったら、お父さんの写真を大事にとっておく。そしてお父さんに会いに行く。
・私はこんなふうになりたくない。
・とてもかわいそう。(2)
・出ていっても父は父。写真を見て泣いていたらどこかにいる父が悲しむと思う。
(B)
・サッカーも会うのも、両方できたらいいのに。(3)
・母親に会う方がとっても大事と思う。
・「弱虫」と言われてとてもかわいそう。(8)
・「弱虫」と言った人は、自分のお母さんがいなくなったらどんな気持ちなんだろう。
・友達は言葉で暴力をしている。
・もし本人だったら、とても悲しくてなかなか立ち直れないと思った。
・自分のお母さんがいなくなったようで、とてもかわいそう。(3)
・離婚したのは寂しいけど、週に1回でも会えるからよかったなあと思った。
・例え離れていてもお母さんは大好き。ぼくは離婚は大嫌いです。
・どっちも好きだから、両手を引っ張られている気持ち。
・何を言われても気にしない。
・だれでも弱音をはくことはある。
・離婚はとても寂しいこと、でも週に1回でも会えるからよかった。
(C)
・かわいそうだ。(3)
・病気が分かった時、とっても悲しかったと思う。
・そんな養子さんもいるんだなと思った。

@ アドバイス、励まし
(A)
・早くお父さんに会えたらいいね。私も応援しているよ。元気出してね。
・お母さんに相談したらいい。
(B)
・お母さんに会いにいく曜日をかえる。(9)
・試合と会うのをかわりばんこにするといいよ。(8)
・サッカーの先生に相談するといい。(3)
・試合を他の日にかえてもらうか、母親に会う日をかえてもらう。(3)
・週に1回よりもっと会う日を多くする。
・お母さんに来てもらって試合をみてもらえばいい。(4)
・サッカーをやめて、いつもお母さんに会えばいい。
・友達のことは気にせずにサッカーを休んで会いに行けばいいと思った。
・練習だけがんばって、お母さんのことを考えていればいい。
・試合の後、会いに行けばいい。(4)
・お母さんと別れるのはとてもつらい。ぼくだったらお母さんに会いに行く。
・サッカーとお母さんのどっちがいいか考えてみるといい。
・友達にも自分のつらさを説明するとすっきりするよ。(6)
・週に1回より会う日を多くするといい。
(C)
・早く元気になってね。
・小学校に行く頃には元気になるといいですね。
・もう家族なんだから、がんばって。

@ 演技を見て&授業の感想
・すごく悲しかったしかわいそうだったけど、Aは解決しそうだった。(3)
・本当に解決するといいなと思った。
・世の中には困ったり、悲しい思いをしている人がいるんだなと分かった。(3)
・その人の心がよく分かってよかった。(2)
・人を思いやる気持ちがなんとだかよく分かった。
・先のことを予想して言ったのがすごいと思った。
・人と別れたら悲しいことが分かった。(4)
・本人の気持ちになってできた。(6)
・親と別れた子供の気持ちが分かった。離婚のことがわかった。
・相手の気持ちになって考えたらかわいそうだった。
・離婚した親の子供がかわいそう。離婚は絶対やめてほしい。
・いろいろな家族があると思った。(2)
・いじめられるのはいやだ。 (2)

・ 事後の感想で、これらの問題は、両親が離婚したことに全ての原因があるかのような記述をしている子供が数名あり、気がかりだった。また、日記に、「もし父母が離婚したらどっちについて行こうかな。」「離婚したらどういう家になるのかな。」等、記述している子供もいた。どんな環境の中にあっても、子供は皆幸せに暮らす権利があることや、大人になれば自分の望む家庭を築くこともできることを授業後、再確認した。

《第四次》
 三次後の感想で「離婚は絶対やめてほしい。」と述べた子供がいたため、その感想を元に第四次で話合いを行った。その時の教師の投げかけと、主な意見は次の通りである。
T 「前の時間の感想で、『離婚のことがとてもよく理解できた、仕方ないんだ』という感想と、『やっぱり離婚はやめてほしい』という二種類の感想があったので、今日はこのことについてもっと意見を述べ合って、考えを深めてほしいと思います。それぞれ、自分の意見を言って下さい。」

・ 離婚するといっしょに暮らせなくなって寂しいし、二度と会えなくなることもあるから、しない方がいい。
・ 離婚するんなら、結婚した意味がない。
・ 好きで結婚したはずなので、離婚してはいけない。
・ 別れると明るい生活ができなくなる。
・ 大人の都合で離婚してはいけない。
・ 考え直してともう1度よく頼む。
・ もし、暴力をふるわれたり、いやな思いをさせられるのだったら離婚した方がいい。
・ 夫婦の問題だから、仕方ない。
・子供には言えない、よっぽどのことがあるのだと思う。
・自分で決めたことだから、他の人が言ってもどうにもならない。
三次まで学習を進め、頭では理解できたつもりでも、本音の部分では多くの子供たちが離婚を否定的に捉えていることが、この時間によく見えてきた。割に活発に意見が出たので、更に考えを深めるため、予定はしていなかったが、後日ディベートを行うことにした。
 この時間の後半は、五年後・十年後・二十年後の自分を予想したり、今しておきたいことを話し合ったりした。
<やってみたいことー5年後(14才)>料理・中学・友達とショッピング・バイト
<やってみたいことー10年後(19才)>女の人と暮らす・大学・結婚
<やってみたいことー20年後(29才)>家族と暮らす・一人旅・お酒
<持っていたいものー5年後(14才)>まんが・新しい友達・友達
<持っていたいものー10年後(19才)>車・車の免許・幸せ
<持っていたいものー20年後(29才)>平和な家族・幸せ・家族
<今しておきたいこと:4年>
・ 今のうちにおじいちゃんたちといっぱいつきあっておきたい。
・ 今のうちに野球の練習をしてプロ野球選手をめざしたい。
・ ソフトボールをがんばる。
・ 思いっきり遊ぶ。
・ いっぱい思い出をつくる。
・ 思い出の品を大切にしたい。
・ お金を貯める。

<家族について考える学習の感想>
・ お父さん達には長生きしてほしい。
・ 楽しかったり、悲しかったりした。
・ 家族の大事さがわかった。
・ いろいろな家族がいるのだと思った。離婚した子どもの気持ちもわかった。
・ 好きで結婚しても、気持ちが変わることはある。
・ 初めは離婚したらいけないと思ったが、よく考えたら仕方ないときもあるんだなと思った。でも、家族が離ればなれになるのは寂しいと思う。
 約一週間後、「ジョージ(第三次の資料の当事者)の両親は離婚しない方がよかった」という論題で、二派に分かれて意見を述べ合った。

A 肯定側(12人) B 否定側(12人)
立 論(5分)
・子供は両親がいた方が幸せである。
・離婚しなければ、ジョージは悩まなかった。
・離婚したことで友達にいじめられるようになったのはかわいそう。
・相手を嫌いな場合、毎日一緒にいてもつらいだけ。
・一緒に暮らす価値がなくなったのだから、離婚は仕方ない。
・お酒を飲みまくったり暴力されると誰でも別れたくなる。
・両方が認め合って離婚したのだから仕方ない。

質問・反論(10分)
<否定側に対して>
A 離婚は家族の愛情が壊れること。子供はとても困る。
B けんかしてる両親を見る子供はもっと困る。ずっとけんかを見るのは悲しいので離婚した方がいい。
A けんかしても子供は親が好きだし、離婚しても親が恋しいこともある。けんかしても、親はいた方がいい。
<肯定側に対して>
B 子供は親が一番大切なのだろうか。
A 血がつながっていない親はいやと思う。
B 血がつながっていなくても、ずっと暮らすと好きになると思う。
A 血がつながっているからこそ、本当の親と言える。
B 血がつながっていなければ家族じゃないのか。夫婦には血のつながりはないし、人の赤ちゃんをもらって育てる人もいる。血がつながっていなくても立派な家族になれる。
A 家族だけど、前の親の方がいいと思うかもしれない。離婚せず、再婚しないのがいい。ジョージは離婚してほしくなかったと思う。本当の母親に会うために友達からいろいろ言われるのはショックだと思う。
B 再婚すれば本当の親に会えないのか。新しい親でも、幸せならそれでよいと思う。
フリートーク1(5分)
A 離婚しても幸せになれる保証はない。子供にとってはすごく大変な思いをする。
B けんかばっかりしてるのを見るよりいい。
A ジョージと同じ立場だったらどう思うか。すごくつらいと思う。友達からも責められ、親にも話せず、味方がいない。
B 先生に言うか、他の友達に言うか、お父さんに言うかして、一緒に考えてもらえばいいと思う。
A それでもなかなか解決しないと思う。引き離されたことが問題なのだと思う。血がつながった人を引き離すことができるか。
B 事情があったんだから仕方ない。ジョージも離婚に賛成したのかもしれない。
A 離婚は子供と関係ない。例え離婚してもいいよと言っても、本心じゃあないと思う。
フリートーク2(5分)
A お酒を飲みまくったり暴力されるというのは、ジョージの家庭に当てはまらないので、取り下げて下さい。
B 一般的な家庭の話。
A 一般家庭の話は今関係ない。 → 取り下げ
B さっきの○○さんの意見だが、子供がいなければ離婚はいいのか。
A いなくても、家庭を破壊するので、離婚は反対。
B 両方が嫌になってもしない方がいいのか。
A 話し合って新しい生活を始めることができる場合もある。
B 子供がいてもいなくても離婚がいけないのなら、子供のためにすべきでないという意見はおかしい。離婚に子供は関係ない。
A 大人の好き勝手は子供は悲しい。
B 毎日けんかばかりの人生でいいのか。
結 論(5分)
・離婚しなければ複雑なことにはならなかった。
・離婚は愛情を破壊すること。
・両親がいた方が、ジョージは幸せ。
・血がつながった人同士が引き裂かれるのはつらいが、親同士は血はつながっていないのだから、離婚は自由。
・子供の考えは関係ない。
・ジョージは自分にできることを一生懸命探せばいい。

○ 戦略面等でも未熟な面の多いディベートであったが、教師の介入なしに子供たち同士で素直に語り合うことができ、大変有意義な時間だった。子供たちは終始真剣な態度で考え合い、身を乗り出して相手の意見を聞き、意見を言うチャンスを伺っていた。(判定は、メンバー全員で意見を述べたことや、相手の立論のひとつを撤回させたことなどが評価され、肯定側の勝ちとなった。)
○ ディベートの後、役を離れて考えるなら論題に賛成か反対か尋ねてみた。3分の2の子供達が肯定側、つまり親にも事情はあるだろうが離婚はしてほしくないという意見だった。多くの子供たちにとって血のつながった者同士が共に暮らすことは、揺るがしようのない愛情の証、心の安定を得るための最低条件なのだと感じた。また、それまで様々な家族の形態等学習してきたが、こうして話し合ってみると親や他家族への共感はできるものの、自分事としては受け入れにくいということもよく分かった。
○ 本クラスには一人親家庭の子供が1名と、ステップファミリーの子供が1名いる。当初、本学習が彼女たちの気持ちを傷付けてしまうのではないかと随分悩んだが、今は、やってよかったと感じている。ディベートでは2名ともが反対派として発言したのだが、離婚についての自分の考えを、役を通してのびのびと発言できたようであったし、賛成派の子供たちの意見にも大変熱心に聞き入っていた。ここでの学習が彼女たちのこれからの人生に少しでも役立つことを願っている。
○ 子供たちには自分事としては離婚を受け入れにくい感情があるが、現実には抜き差しならぬ理由により多くの人々が離婚を経験していることや、それを不幸に感じることなく幸せになる権利が子供にもあること、今は違っても将来は自分の思いを最優先に家族を選択できることなどを再々度話し、本学習を終了した。一人でも多くの子供たちが、自分の存在を積極的に肯定し、誰のためでもなく自分自身のために自信をもって生きていってくれることを心から願っている。


@ この授業は、長崎市で行われた性教協全国セミナーや山口県・広島県の性教育研修会で報告&模擬授業したもので、詳しい内容は学事出版発行の月刊誌「生徒指導」に掲載されました。
《全国セミナーでの参加者の感想から》

○「家族」というテーマを通して、自分を肯定的に生きるための考え方を深く見つめさせてくれた授業でした。
○「家族」から自己肯定、他者肯定、それから生き方へとつながる授業構成で、是非やらなければならない授業だと思います。
○実際に自分がその立場に立ってやってみると、気付かなかったことが見えてきて、新しい気付き・発見がありました。
○今の社会環境ではこの授業はとても必要です。自己肯定できるように元気が出るように取り組んでみたいと思います。

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