いじめを考える (5年)

 ねらい
 同じ出来事でも人によって受け止め方が様々であったり、自分が些細な出来事だと思っていても、相手にとっては重大な問題であったりすることを知り、相手の身になって考えることの大切さを理解する。
 自分にできることを考える。
 
 授業の様子
 文部科学省の行った「問題行動調査」の結果と、9月11日に山口県教委が発表したばかりの調査結果を知らせ、いじめが他人事などではなく、実際に身近にも存在しているかもしれないことを示した。
・ 子ども達は、いじめや暴力の件数の多さに驚いていた。
 学校生活の中で起こりそうな6つの出来事を挙げ、それらについてどう思うか、ワークシートに各自の考えを書かせた。その際、それぞれの出来事について、「ひどいいじめ」「いじめ」「少し違う」「いじめではない」の4段階のどれに当たると思うかも記入させた。 
<取り上げた出来事>
 ボール遊びの時、当たりやすいA君をいつも真っ先に狙う。
 B君にいじめられたことのある3人で相談し、こらしめるために、靴を掃除道具入れに隠した。
 Cさんは、嫌なことでもはっきり言わないので、友達6人で軽く髪を引っ張ったり体をつついたりした。
 D君とE君は、F君に命令されて、帰り道でG君に文句を言った。
 H君が体育の授業の前なのにいつまでも着替えないので、ズボンを無理矢理脱がせて着替えを手伝った。
 Iさんの悪口を言ったJさんを無視し、それ以来口を利かないようにした。
<子どもの反応>

 ワークシートをもとに、各班で意見を伝え合わせた。
・自分の考えと違う友達がいることに、子ども達は驚いていた。「へぇ、そう思ったの?」などと言いながら、各自の考えを伝え合っていた。
 班で出た意見をもとに、クラス全体で話し合わせた。
 【出来事1】については白熱した。一方が「作戦なんだからいじめではない。」と言うと、一方からは「物を使ったいじめだ。」「弱いから狙うのは弱い者いじめなのではないか。」などの意見が出た。それに対して、「たびたびボールが来たら楽しいと思う。」「強くなる努力も必要だ。」などと応戦していたが、だんだん、狙われ当てられる人の気持ちにも近付いていっていた。
 「一人対複数」という点に関しては、全員一致で「よくない。」と言っていた。
 相手の気持ちに目を向けてみることを学び合うことができたと思う。
 自分にできることを考えさせ、ワークシートに記入させた。筆の進まない子どもには、本時の感想で良いので書くよう指示した。
 皆、想像力を働かせながら、しっかり考え、自分や他人への思いを深めることができていた。

<ワークシートより>
 もし、いじめられている人がいたら助けたい。いじめはいけないことが、すごくすごく分かった。/複数対一人はひどいと思った。もし、ぼくがその場にいたら注意したい。/自分だったらとめてあげる。一人の人を複数でいじめたらいけない。1対1でもいけないけど、1対1の方がまだいいと思った。体をつつくのはセクハラだ。一人ひとりみんなが意見を言えたので良かった。/自分で発言できたので良かった。友達と協力してできた。/ぼくが思っていたのと反対の意見があったり、ぼくが思っていなかった考えなどがいっぱいあって面白かった。またこういうのをしたい。/いじめを止めるのは勇気が必要だと思う。だから勇気を出せるように努力したい。/【1について】みんなの意見を聞いたけど、やっぱり考えは変わらなかった。【4について】人に命令するのもいけないけど、命令を聞くのもいけないと思った。/いじめをする人は弱虫だと思った。もし、こんなことをしている人がいたら、とめたい。/みんなの考えている気持ちがすごくよく分かって良かった。こんな勉強を次もやりたい。次はもっと発表したい。/自分がやられて嫌なことはやらない。遊び半分でやっても、やられている人が嫌がっていたらやらない。/他の人の意見を聞いて、いじめの考え方を見直すことができた。/もし私がいじめを受けたら、すぐに誰かに相談したい。もし、いじめられている人を見かけたら、すぐに先生に言おうと思う。いろいろな人の意見が聞けて、そんな考え方もあるんだと思った。/いじめは絶対に良くないし、されたくないし、している人を見たらとめてあげたい。相手の気持ちになって行動しようと思う。/「やめてほしい」と相手に伝え、それでもやめてくれなかったら先生に相談をすれば、少しは相手もやめてくれると思った。/【1】もし自分なら、「みんなを狙おうよ。」と言いたい。【5】優しくすればいい。【6】無視はいけないよと言う。いろんな人の意見で、ああ、こういうのがあるのかと思った。/一人で注意するのではなく、みんなで注意すればいい。/いじめられた人の中にも、嫌だけど言葉に出さない人もいることが分かった。/【3】一人と6人なので、絶対に良くない。/【1】そんなことをしたら 君は楽しくなくなる。【2】いじめられたからと言って、仕返しはいけない。/いろいろな意見が出て、納得できたので良かった。/いじめをされたことがなければ、分からないんだろうなと思った。/やっぱりいじめは嫌だし、恐いなと思った。/もし自分がいじめられたら誰かに相談したい。他の班の意見を聞いて勉強になった。/いじめは殺人にも繋がるから恐いと思った。/【1】「 A君ばかり当てるのはよくない。」って言いたい。次もいっぱい発言したい。/自分がその場にいたら、見ているだけでなく、いじめを止めに行きたい。/いじめた人は、自分がやられたら、どんな気持ちになるかなと思った。/加害者はいじめのつもりじゃなくても被害者が嫌がって困っていたらいじめになることが分かった。傍観者も被害者にとっては加害者みたいなのだと思った。友達の考えを聞いてなるほどと思った。もし私がその場にいたら、加害者にも傍観者にもならずに注意したい。/以前は、やられたらやり返すと思っていたが、暴力は使いたくない。努力したい。/【2】いじめられたからって、人の物を隠したらいじめと同じ。みんなで発表して良かった。
 

 授業後、このプリント↑を印刷・配布し、読み合った。
 後半は、どこか予定調和的で、釈然としない思い(掘り下げきれていないのではないかとの思い)が私の中にも残ったが、全員がそれぞれの考えに自信をもち発言したし、友達の意見を一生懸命聞こうとしていたので、良しとしたいと思う。
 本当は、「自分はいじめなんてしていない。」と思い込んでいても、そうでもないこともあることや、自分の内なる差別心にも気付いてほしかったのだが。今後、日々の暮らしの中で少しずつ伝えていきたい。


<参観した保護者の感想>
子ども達が自分の意見を堂々と発表する姿に感心しました。
自分の考えを発表することが出来る子が多くて驚きました。
いい事ですよね。
子ども達が積極的に意見をどんどん出し合って「いじめ」に
ついて真剣に考えている姿に感動しました。意見を言わない
子も、きちんと話を聞いているようでした。いつまでもその
気持ちを忘れないでほしいですね。いじめについての標語も
見ました。すばらしいと思います。
今日の授業の気持ちを忘れずに、子ども達が成長していって
ほしいなと思います。
いじめの問題に一生懸命取り組んでいて、自分の意見を言い
合えたので良かったと思います。これがきっかけとなって、
少しでもいじめがなくなったらいいなと思います。



保護者の感想の中にある「標語」とは、以前の道徳の時間に各自が作成したものだ。
短冊に書いて校内各所に張り出した。
あの時は、放課後、私が一人であっちこっちに張ったので、
翌朝子ども達は、まるで宝探しをするみたいに、楽しそうに探し回っていた。

標   語
いじめはね 心が傷付く 悪いこと/悪いこと やったら人間 失格だ/やめようよ いじめは犯罪 得はない/いじめはね すればするほど悪くなる/いじめはね しても意味ない やめようよ/いじめはね 人の心を傷つける この世にいらない ものなのだ/やめようね いじめをしても 意味はない/傍観者 早くとめなきゃ いじめの輪/いじめると 友達づくりの 遠回り/いじめっこ いない世の中 つくりだそう/いじめはね 小さいことから始まるよ/いじめなし そんな平和な世の中に/いじめはね 何も得なし やめようよ/いじめなし 安心できる 世の中へ/いじめはね みんなの夢を 狂わせる/いじめはね やったらだめだよ 絶対に/いじめはね 小さなことから 始まるよ/知らんぷり してるあなたも いじめっ子/いじめはね がんばりゃきっと なおせるよ/いじめはね なおす気になりゃ なおせるよ/目指そうよ いじめなしの 世の中を/いじめはね 心の病気 やめようよ/やめようよ 友達減るよ いじめっ子/振り返ろう 気付いてなくても いじめてる/いじめっ子 本当はみんな 弱虫だ/いじめをね したら人生 台無しだ/いじめはね 将来の夢遠回り/いじめはね 命に関わる 悪いこと




授業の終末に、1〜6までの出来事について、もう一度、「ひどいいじめ」「いじめ」
「少し違う」「いじめではない」の4段階のどれに当たるか尋ねてみたい気もしたが、
かえって抽象化しそうなので尋ねてはいない。

その後の生活の中で、時々、「あ、これってあの時の勉強の△番に似ているよね。」
などと子どもに言うことがある。それまでは感情に任せて相手の良くないことばかりをまくし立てていた子も、
そう言うと、少しは客観的になれるようになってきた。

一年も後半戦にさしかかり、残りが見え始めてきた今日この頃、
自分の心と行動をしっかりと見つめることができる子になることをめざしていきたい。






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