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私達の平和を考える〜第一次〜
戦争って何? (5年:総合的な学習)



今日も世界各地で戦争や紛争が繰り広げられている。地雷の被害に遭う子どもたちや、祖国のためにと銃を手に戦う子ども達、家族が生き延びるために売られていく子ども達もいる。戦争は、遠い外国で起こるものばかりではない。アメリカ追随の姿勢を崩さぬ日本の姿もまた、戦争に向かってひた走る、そんな印象を与える毎日である。かつて戦争を引き起こし、傷つけ、傷付いた体験から、我々は何かを学び取っただろうか? 遠い過去のこととして、それらを忘れ去ろうとしてはいないだろうか? 人々の願いとは正反対に、平和が消え去ろうとしている今、平和を願う学習を積み重ねることには、大きな意味があると考える。
 
〜 第一次 〜

 戦争のことなど何も知らない子どもたちである。まずは、かつての戦争によって庶民の生活がどう変わったか、戦争の被害がどんなものなのか、日本人が実際に体験したことを知ることから始めた。と言っても、周囲に戦争体験者は見当たらない。(知らないだけだろうが。)そこで、ブックトークやストーリーテリング、読み聞かせ、ビデオ視聴等によって、五感に訴えながら、15年戦争の事実やその終末段階で起きた被爆の実態等を伝えていった。子ども達は、どの資料にもはっきりと興味を示し、とても真剣な態度で学習した。

<読み聞かせで扱った本>

@ 被害の記録   
・山口勇子「おこりじぞう」・ミホ・シボ「つるにのって」・葉祥明「あの夏の日」
・那須生幹「絵で読む広島の原爆」・たなべまもる「そしてトンキーもしんだ」
・中野みち子「ポケットのいちご」・山下まさと「原爆の少女ちどり」
・奥田継夫「お母ちゃんお母ちゃーんむかえにきて」・長崎源之助「えんぴつびな」
・児玉辰春「伸ちゃんのさんりんしゃ」・岩崎京子「原爆の火」
・米倉斉加年「おとなになれなかった弟たちに・・・・・」
・丸木俊「ひろしまのピカ」
・チャナ・バイヤーズ・アベルス「おもいだしてくださいあの子どもたちを」

<ブックトーク・ストーリーテリングで扱った本>

残念ながら、日本軍・日本兵によって暮らしや命を奪われた人々が描かれた絵本は、私が探した限りでは皆無であった。そのため、加害の様子についてはブックトークとストーリーテリングで進めていった。また、被害の記録の中でも子どもが読むには難解なものは、ブックトークで紹介した。
@ 加害の記録
・林えいだい「グラフィック・レポート清算されない昭和〜朝鮮人強制連行の記録」
・中国帰還者連絡会「新編三光」
・森村誠一「続悪魔の飽食」
・映画「侵略」上映委員会「日本は朝鮮になにをしたの」
・映画「侵略」上映委員会「日本は中国になにをしたの」

@ 被害の記録
・月刊沖縄社「沖縄戦衝撃の記録写真集」
・新日本婦人の会広島県本部「木の葉のように焼かれて」
・ひめゆり平和祈念資料館「公式ガイドブックひめゆり平和祈念資料館」
・峠三吉「原爆詩集」・荒木正夫「ごめんね、お母さん」
・長田新「わたしがちいさかったときに」・「アンネの日記」・「ハンナのかばん」
・早乙女勝元「アウシュビッツからの手紙」

<ビデオ>

・「にんげんをかえせ」
・「つるにのって〜とも子の冒険〜」
・「アオギリは枯れない」

<「にんげんをかえせ」視聴後の子どもの反応>

・前から平和学習でやっていたけど、ほんとに地獄だとビデオを見て分かった。人の残した影、こげた死体、川に行けば水を飲みながら死ぬ人や死体が浮いてたりした。もう、かわいそうでかわいそうで、ほんとに戦争は人が作った地獄だ。僕は、どうしてあんなことをするのか理解できない。
・もう戦争なんかやめてしまえとみんな思ったと思う。
・平和がどんなに大切なことか分かった。戦争はとても憎いものだと思う。戦争がなくなれば、どれほど多くの人達が幸せになれるだろう。どれだけ多くの人が死なずにすんで今幸せでいられたかと思うと、とても悲しい。
・私が知らないことろでこんなにも多くの犠牲者がいたことに驚いた。私がその時代、広島にいたなら、どんなひどいやけどだったか想像してみたりすると、ぞっとする。被爆して生き抜いた人たちに、とっても苦しかったけど頑張りましたねと言ってあげたい。私はこのビデオを見て、先生の言ってる本当の平和のすごさが分かった。
・人々に苦しみを与えたのに、なんでリトルボーイなんてかわいい名前がついているんだろう。私は、アメリカに原爆の仕返しをしたいけど、それは間違っている。核なんてなくしてほしい。戦争はいやだ。
・ビデオはこわかったけど、空襲とかで死んだ人は、もっとこわくて苦しくて、お腹も空いたり傷が痛んだりして、もっと大変だったんだとすごく思った。こんなことがあっていいのかと思った。みんな生きてるからこそ、友達ですごく大事なんだと思う。
・日本もいけないと思うけど、日本で無理に働かされている外国人もいたのを知ってるのに、どうして原爆なんか落としたんだろう。原爆なんか作った人はおかしいし、私はとっても悲しくなった。なぜ日本はアメリカに戦争を仕掛けたのだろう。なぜ戦争なんてこの世にあるのだろう。「父をかえせ 母をかえせ」・・・戦争がなければこんな悲しい詩はできない。世界から兵器をなくさなければ。
・どうしてこんなに悲しいことが昔あったのか、5年生になるまで知らなかった。差別する心が戦争を生むのだという言葉の意味をよく考えてみたい。
・ぼくはアメリカが許せない。もう二度と原爆はどこにも落としてほしくない。全ての国が仲良くなるといい。
・とってもひどいので胸が苦しくなった。戦争が憎いと思った。同じ地球に住む同じ人間同士で殺し合うなんて、絶対あってはならないと思う。お金とか、自分の強さより、命が、平和が大切なんだ。
・核がもし勝手に爆発してしまったら、虫も人間も動物もみんな死んでしまう。もう作らないでほしい。
・もし今日でも核が落ちたらどうしよう。みんな死ぬんだと思った。
・今、平和な時代でほんとうによかったと思った。普通は、人を殺したら捕まるのに、なんで戦争で何十万という人を殺しているのに、戦争をやった人は捕まらないのか不思議。



<ホームページ>
長崎の被爆者Uさんの体験手記

<体験手記の感想>
・僕は日本をいい国と思っていたけど、こんなにも残酷なことをしてきたと知って、力が抜けた。いじめたり、殺したりして、人間をなんだと思ってるのか。
・僕は、この話を聞いて、かわいそうで聞いてられないくらいかわいそうだった。戦争は絶対してはいけないし、核とか爆弾は作ってはいけない。
・日本は戦争を今はしていないのでよかった。
・僕は今までアメリカはいい国かと思っていたんだけど、今のアメリカは昔の日本と少しおんなじようなことをしていると思った。日本もいけないけどアメリカも反省してほしい。どこの国も核の開発はもうやめてほしい。早く核兵器を全部なくして、ほんとの平和が訪れるといいと思う。
・生きられる可能性が少ないということが、これほどのものかと感じた。原爆は人類に対しての爆弾の中で最強にして最悪の爆弾だと思った。
・火傷の大きさの違いで死んだり生き残ったり、運命と言えばそれまでだが、人の命が、こんなことでいいのかと思った。
・戦争に反対する集会があることを知って、出てみたくなった。そんな気持ちの人がたくさんいるのに、どうして戦争がなくならないのだろう。平和が一番いいのに、なんで戦争したいのだろう。
・戦争をとめるための運動のことが分かり、世界中から早く戦争がなくなればいいと思った。
・日本はいろんな国に戦争を仕掛けたりしたことが分かった。それを忘れてはいけない。
・語り部の人たちは、もう核兵器をなくしたくてみんなに伝えようとして話したり書いたりしている。すごく悲しい話だけど、知らなければだめだと思った。
・核兵器は、何の役にも立たない。
・友達が死んだり家族が死んだりするのは絶対にイヤだ。

子どもたちの感想からは、戦争への嫌悪感や核への恐怖、戦争がなぜ起こったのかという疑問等が読み取れる。アメリカ憎しの感情も少なからずあるようだ。だが、アメリカが加害者で日本が被害者というとらえ方は極めて一面的な理解に過ぎない。憎むべきはいったい何なのか、巧妙に巻き込まれていった我々自身の落ち度は何なのか、そこに疑問を持たなければ、同じ過ちを繰り返さないとも限らない。過去の出来事を辿るだけでなく、戦争へと向かっていった人々の心のありようを考え、知ることこそ、大切な平和への学習なのだと思う。また、感想の中に、「日本は戦争を今はしていないのでよかった。」というものもあり、それもとても気になった。
 
 そこで第二次ではまず、秋葉市長の「平和宣言」を読み合い、日本が今どこに向かおうとしているのか、考え合うこととした。そして第一次で感じた(新しく感じた)様々な疑問を解決するための調べ学習をすることを伝え、グループ活動の計画を立てさせる。
 更に、第二次に向け以下の本の読み聞かせやストーリーテリングを、授業の合間等を利用して数時間積み重ねた。少々引っ張りすぎ、且つテーマが広がり過ぎの感もあったが、できるだけの資料は与えたいと考え、こなしていった。

<読み聞かせ>
・チェルノブイリ子ども基金「生きていたい!チェルノブイリの子どもたちの叫び」
・島田興生「水爆の島マーシャルの子どもたち」
・柳瀬房子「サニーのおねがい 地雷ではなく花をください」
・柳瀬房子「サニーのゆめ ありがとう 地雷ではなく花をください」
・三留理男「カメラはなにを見たか」
・松谷みよ子「黒いちょう」
・いぬいとみこ「トビウオのぼうやは びょうきです」


<ブックトーク・ストーリーテリング>
・広島平和記念資料館「ヒロシマを世界に」
・財団法人長崎平和推進協会継承部会「ピース・トークきみたちにつたえたいV」
・創価学会婦人平和委員会「ヒロシマ平和への出発」・広瀬隆「チェルノブイリの少年たち」
・佐藤忠男「戦争はなぜおこるか」・レイモンド・ブリッグス「風が吹くとき」
・沢田サタ「泥まみれの死」・本多勝一「検証カンボジア大虐殺」


以上、第一次の実践でした。(^^)


平成15年10月5日


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