「ふるさとへ帰れない」 〜第1・2・3時〜 (5年:総合的な学習)



<第1時>  10/19(水)
宿泊拒否事件の概要を説明
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感想の交流
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ホテルの写真や当時の新聞記事等提示
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ハンセン病の原因や治療法、後遺症等の説明
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菊池恵楓園の阿部さん夫妻や太田国男さんの写真を提示し、現在の生活の様子等を紹介
 
 
 <子どもの反応>
 回復者は、どうして家族の元に帰ることができないのか不思議だ。
 ホテルの支配人は差別をしているのに言い訳をしている。
 本当にお客たちが嫌がっていたとは思えない。
 断る方が評判が悪くなるのに変だ。
 回復者は、なぜ今も療養所に住んでいるのだろう。
 せっかく生んだ子どもなのに、親はどうしてすぐに帰らせなかったのだろう。
  
 ハンセン病の回復者と同じホテルに泊まれるか、同じお風呂に入れるかという問いには、
全員が「泊まることができる」「入ることができる」と回答した。
 
 子どもたちにとってはホテル側の宿泊拒否も不可解だが、それよりも、なぜ療養所に入所
している回復者が、未だに家族と一緒に暮らせないでいるのかを不思議がっていた。

 そして、ハンセン病に罹った家族を命懸けで守ろうとした人もいる一方で、本人につらく当た
ったり、世間から隠そうとしたり、縁を切ろうとした家族もいることに、強い憤りを表していた。 

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 そこで、第2時では、それは一体どうしてなのか、誰が家族をそこまで追い詰めるのか、患
者の家族がどんな思いで暮らしてきたか、等々にも目を向けることができるよう、紙芝居や元
患者の声を視聴して考え合った。

<第2時>  10/20(木)
紙芝居「ふるさとに帰れないありさん」(溝部氏制作)の読み聞かせ
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多摩全生園のTさんの話(CD)を聞く。
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「らい予防法」の成立や廃止、裁判の様子等を説明
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感想や疑問の交流
 
 
<子どもの反応>
 50年以上、療養所で暮らすのは大変だったと思う。
 机を燃やしてしまうなんてひどい。
 病気のことを正しく知ろうとしなかった人達がいけない。
 もう少し早く自由にしてあげるべきだった。
 近くの病院で受け入れてほしい。
 少しでも早く裁判をするべきだった。戦後すぐにでもできたと思う。
 周りの理解不足が一番いけない。
 何回も引っ越しをして大変だったと思う。
 ぼくたちは自由な暮らしをしているのに。
 でたらめなうわさがどんどん大きく広がっていくから、みんな差別する。
 うわさは無責任で根拠がない。
 家族も自分たちを守るためなのかもしれない。
 Tさんは、ぼくと同じ年の時に入所し、ずっと一人だったのか。

 Tさんは、入所する時の家族の様子や療養所での生活ぶりなどを、詳しく話して下さった。子どもたち
は自分と比べながら、Tさんの話をとても共感的に聞いており、ハンセン病回復者への差別の問題が、
一気に身近なものになってきたように思えた。

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第3時  10/21(金)
 入所者の自由への闘いの歴史、ハンセン病に関わる世界の動向を説明 ↓
 ホルマリン漬けの胎児・雪の中での薪運び・食事風景・現在の菊池恵楓園の写真等を提示、強制隔離・強制労働・消毒・無らい県運動・ワゼクトミー等々が、政府の政策として推し進められてきたことを説明
 ↓
ビデオ「九州・沖縄アンコールアワー 心をつないだ電子メール」の視聴
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感想の交流
 
 
<ビデオ鑑賞後の子どもの反応>
 人と心を通わせることが大事だと思う。
 太田さんは自信を持って生きている。
 太田さんは工夫して暮らしていてすごい。
 私たちも太田さんと触れ合いたい。
 有希さんは見かけで人を差別しなかったし、初めは緊張していたけど、いっぱいしゃべれるようになってすごい。
 有希さんから太田さんへの誕生日プレゼントは、「これからもよろしく」っていう気持ちだったと思う。
 家で「かえで共和国」のHPを見てみたい。
 私もメールを送りたい。
 本当の家族には会えないけど、新しい家族ができてよかったと思う。

 「心をつないだ電子メール」は、知ること、そして行動することがいかに大切であるかが実感できるビデオだ。
 子どもたちも、何か始めたい、そんなことを言っていた。
  
 3時とも、涙がぶわ〜っと込み上げて、ウルウルくる場面が幾度もあった・・・。
 涙を拭いている子や、唇を噛みしめハンカチを握っている子も何人もいた。
 知るってほんとに大事だと、いつもながら子どもから教えられる。
 授業するまで、41名のうちの誰一人、ハンセン病という病名すら聞いたこともなく、ましてや後遺症を抱えた
人に会ったこともなかったのだ。
 
 第3時の終末、「知って今どう思う?」と聞いてみた。
 子どもたちは口々に、「知ってよかった。」と言っていた。
 「これからもいろんなことを知り、気付きを深めていこうね。」そう言って授業を終えた。

 <保護者の感想>
 授業の最後に子どもたちが「差別しません!」と言っていた姿を見て、今の素直な心のまま、正しい判断のできる人になってほしいと感じました。
 今回の授業は大人も大変勉強になりました。実際ハンセン病回復者の方を目の前にした事がないので難しかったです。家でも子どもは差別という言葉を兄妹けんかの時など、親が兄を怒ると言っていますが、どこまで分かっているのかなと思う時があります。
 今までにもいろいろ人権について話を聞いたこともありますが、本当に理解しわだかまりがなくなることは、とても難しいことと思います。・
 大人の常識を磨き、当たり前のことが当たり前にできるようにしたいと考えております。大人だから許される、子どもだから許される、もちろん、互いにかかえている責任の違いによって多少はあると思います。しかし、これが互いに認め合える関係であるためには、大人は大人として常識ある言動に心掛け、子どものよき手本になるべきだと思います。子どもに尊敬される大人でありたいと常に心掛け努力しているところですが・・・。現実にはなかなかうまくいきません。





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