ふるさとに帰れない〜私たちの課題〜第一次番外編(5年:道徳)


 菊池恵楓園に住む18人の回復者と4人の職員が、アイレディース宮殿黒川温泉ホテルに宿泊を拒否されたことが18日分かった。それぞれの立場の人の話をもとに、なぜ差別は続くのか、そして自分に何ができるのか、考え合った。

出来事の概要を知った。
 ・ 「ふるさと訪問事業」とは?
 ・ 熊本県の対応
 ・ ホテルの姿勢

・ 昨夜からの報道で、3分の2くらいの子どもがこのことについて知っていた。簡単に事件の経緯を説明したが、「なんで差別するんだろう。」「ハンセン病を知らないのだろうか。」等、口々に言っていた。

2 自治会・黒川温泉旅館組合・ホテル総支配人・熊本県潮谷知事、それぞれの立場の人の意見を読み、思ったことを話し合った。

<子供の反応>
・ 差別はいけないと分かっているのに、なぜ大人がこんなことをするのだろう。本社ももっとよく考えて、指導してほしい。
・ ホテルは自分勝手過ぎる。
・ 総支配人は、ハンセン病のことをもっと知るべきだ。分からないのなら医者に聞いて、うつらないことを教えてもらえばいい。
・ 回復者も医者に協力してもらって、ホテルに訴えるといい。
・ 回復者は、こんなホテルのことは気にしないで自信を持って明るく生きてほしい。
・ こんなことがあって悲しい。
・ 他のホテルも差別しているところがあるかもしれない。
・ ホテルで不自由なことがあるかもしれないが、健康な人だけでなく、障害者も泊まれる施設があるといい。


<ここで、湯布院で身障者も安心して泊まれるホテルを経営している、大谷英之さん淳子さん夫妻の話をした。大谷英之さんがどんな写真家だったのか、淳子さんと大五郎のことなど、少しだけ話した。>

・ ホテルと回復者が、よく相談して結論を出すべきだった。
・ 他の宿泊客が嫌がったら経営が危なくなるから、差別はいけないと知っていても、差別したんじゃないか。
・ ホテルはもっとしっかりしてほしい。相手の気持ちを全然考えていない。
・ 本社も差別している。判断をホテルに任せないで、「泊めなさい。」ときちんと指導するべきだ。
・ こんなホテルはつぶして新しく建設するといい。
この意見には、賛成意見も反対意見もたくさん出た。
・ つぶすとお金がかかるから、総支配人や社員をかえるのがいい。
・ 総支配人をかえても、次の職場でまた差別するかもしれないから一緒だ。
・ 総支配人にも社員にも教えるのがいい。差別しない人を社長にしなければだめだ。
・ 自分だったら、とても悔しい。
・ 国が差別を始めたんだけど、今は違うのでホテルを指導することはできると思う。
・ 熊本県はきっぱりした態度でいい。
・ なぜこんな差別があるのか考えたら、後遺症が差別のもとにあるのかもしれない。
・ 回復者の外見が違うから、ホテルは差別するのではないか。
・ 外見が違っても差別はいけないということをホテルは知らないのだと思う。
・ 泊めたら宿泊客から嫌がられることになるかもしれないので、関わらないようにしようと思ったのだと思う。


 外見の違いが差別のもとにあるのではないかという意見には、一人の大人として、子供たちに大変申し訳なく思った。私達が築いてきた社会は、ちっとも子供に誇れる社会などではないのだ。人の人生に関わる重大な問題を深く考えようともしない大人・・、人の痛みに無頓着で、その悲しみを想像すらできない大人・・・。そんな大人が厚顔にも自分の損得ばかりを主張する社会なのだ・・・。回復者のみなさんに対しては勿論だが、子供たちにも、本当に申し訳ないと思った。
 
 「みんなは、外見で人を差別したことある?」「なぜ?」と聞いてみた。「みんな言ってたから。」「なんとなく」等の意見があった。ここで子供の世界にある具体的な事例を出すことには躊躇があったので、それ以上は追究せず、次の活動に移った。

3 本時の学習を振り返り、私たちにできることを考えた。

・ 外見で人を差別しないようにしたい。
・ 責任もって話すことが大事だと思う。知りもしないのに判断してはいけない。
・ 間違った情報を信じてはいけない。
・ 正しいことを伝えていきたい。

 授業中も授業後も、子供達は、明日来て下さる太田さんは大丈夫か、とても心配していた。「先生、ホテルの人にちゃんと頼んで来て!」と言って来る子もいた。「これだけ大問題になってるんだから、同じことは絶対しないよ。大丈夫だよ。」と冷静に友達に話している子供もいた。
 
 回復者の平均年齢は75歳である。多くの方にとってその人生は、隔離とたたかいの人生だった。今、我々が変わらなければ、その人生に償いようがないではないか・・・そんなことを語って授業を終えた。

 明日はいよいよ太田さんが熊本からいらっしゃる日だ。子供たちと一緒に、温かい時を過ごしていただきたい。心からお待ちしている。


2003年11月19日


<追記>
・幾多の抗議にも、県の指導にも従わなかったホテルが、旅館業法違反の告発と旅館組合除名で態度を一転、今日回復者に謝りに行くのだと言う。
・前田篤子総支配人は、組合の一員として生きていくために考え方を変えたと公言。生きてゆけないから、死活問題だから謝るのだ。テレビで見た前田さんは、人を押しのけて生きてきたようななりにも見えず、どこにでもいそうな普通の女性だった。うっすら涙を浮かべて会見していた。告発や除名を恐れて取った態度は改心とは程遠い。回復者には時間がないのに、経済制裁しか効き目がないなんて、僭越なれど私が代わりに謝りに行きたいくらいだ。(悲)


2003年11月20日早朝

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