健康とジェンダー 2 〜 FGM/FC 〜 (5年:学活) 

<学習の流れ:2時間>

1 ティティの告白を聞いた。
・内海夏子「ドキュメント女子割礼」の一節(p22〜)を読み聞かせた。
 ティティがFGMを受けた時の様子が記されている。


2 FGMを行う理由、行われている国、受けた女性の数、施術方法、FGMによる心身の健康被害の様子等を知った。
・処女性確保・性的自由の剥奪・性欲抑制・夫への配慮・結婚の条件
・恥と村八分の回避・誇り・美容・伝統の尊重・通過儀礼・・・
・アフリカ28カ国と移住先
・既に1億4000万人(WHOの推定による)
・今でも毎年200万人近く
上記の「理由」については子どもには、ひとつひとつの意味の説明はしていないが、以下に私の解釈を記す。

・ 処女性確保=陰部封鎖の場合、切開したり、ぼちぼち広げないとペニスは入らない。
・ 性欲抑制・性的自由の剥奪=痛みがある(快感はない)のでセックスしようとしない。陰部封鎖の場合は広げなければ自由にセックスできない。
・ 夫への配慮=セックスが夫だけの快感となるために施術する。
・ 結婚の条件=夫だけのための女と認められる。
・ 恥と村八分の回避=部族への帰属心が求められている。
・ 誇り=痛みに耐えしきたりに従った自信。
・ 美容=黒っぽくなる所を取るので、きれいになると思われている。
・ 伝統の尊重=2000年以上に渡って続けられてきた。
・ 通過儀礼=痛みに耐えることが、大人の条件


 女性が男性より強いと思われ、男が性的コンプレックスを持っていることがFGMを継続させているのだと内海夏子さんもその著書で述べている。つまり、FGMは、自信のない男が、強いと思われている女より優位に立つために、女を傷付ける風習なのかもしれない。問題なのは、女の地位があまりにも低いために、人間としての付加価値を求めて女自身がFGMを積極的に継続させていることにある。

@ WHOの定義(1996年) @
タイプ1 クリトリデクトミー


85
%
・クリトリスの一部または全部の切除
タイプ2 エクシジョン
・クリトリス切除と小陰唇の一部または全部の切除
タイプ3 陰部封鎖


15
%
・外性器の一部または全部の切除および膣の入り口の縫合による膣口の狭小化または封鎖
タイプ4 その他、タイプ1〜3に属さないもの
・クリトリスあるいはクリトリスと陰唇を針で突く、穴を通す、切り込みを入れるなど
・クリトリスあるいはクリトリスと陰唇を引き伸ばす
・クリトリスや周辺の組織を焼く
・膣口を削り落とす、あるいは膣に切り込みを入れる
・膣を硬くあるいは狭くする目的で、膣に腐食性の物質を入れて出血させたり、薬草を入れたりする
・その他、治療を目的とせず、文化的理由のもとに、女性外性器の一部あるいは全部を削除し、あるいは女性の生殖器官を意図的に傷つける行為のすべて

・医者やソウイ(長老女性)、ダヤ(産婆)、理容師、ムティンデット(専門)等によって
・ボンドー・ソサエティへの加入儀礼として
・お祭り、祝い事として
・秘密裡に
・出産後の再封鎖
・痛み、出血、感染症、尿道炎、腎臓圧迫による背中の痛み、神経腫、尿保留、尿道や膀胱の結石、変形、腰痛、生理痛、生理不順、おりもの、不妊
・ショック、トラウマ

 ここでは、子どもたちから、赤ちゃんを産む時はどれくらい時間がかかるのかとか、切られた性器はどうするのかとか、素朴な質問がいくつも出た。

3 パリ重罪裁判所の判決を伝える記事を読んだ。(1999/02/18朝日新聞)
・フランスに住むアフリカ系住民が少女48人にFGMを施していたとして傷害罪に問われた裁判
・パリ重罪裁判所は有罪判決を言い渡した


4 感想を交流した。


<子どもの反応>
・ FGMで死ねば、また新たな憎しみ・苦しみが生まれる。FGMをしなくても、気に入った人に告白し、新たな家庭を作ればそれでいい。

・ なぜそんなことをしないと大人になれないのか、なぜ大人になるためにそんなことをするのか、別に大人扱いされなくても、子どものままでもいいんじゃないのか。なぜそんな風習を作ったのか、そんなことをしても、自分の身体や心、健康まで、なぜだめにするのかそれが不思議だ。なぜ罪もないのに傷つけるのか、本当に許せない。

・ 今日の勉強は、ほんとにぼくには信じられないことばかりだった。FCすれば大人で結婚できるとか、しなければ異常だとか、医者もFCをすすめるなんて信じられない。親が子どもをだましてまでFCするのが許せない。FCしないと結婚できなかったり井戸の水が汲めないのもものすごく差別的。親や医者の気持ちが知りたい。

・ FGMを文化や伝統と言ってるけど、ただの差別だ。なんで大切なところを傷つけないといけないのか。0歳の子にもやった記録があるとは、とってもショックだった。私もアフリカに生まれていたら、やったんだと思う。

・ いろいろな国でいろんな風習があることが分かった。そんなにまでして健康な人を傷つけているなんてひどい。

・ なぜ女の人だけがこんな目に遭うのか不思議だ。FGMをしていなかったら大人として認められなかったり、結婚できないなんて、私には考えもつかない事だ。私は日本に生まれてよかったと思う。でも、間違ったことなので、アフリカで反対している人を応援したい。病気を呪いとか祟りとか信じている人たちが多いから、FGMでどんなに不健康になるか知らないんだと思った。

・ 医者がやるのもいけないし、一般の医者でもない人がやるのもいけないと思う。アフリカの国の文化をとやかく言えないけど、おかしいと思う。0歳でもやれば大人扱いで、100歳でもやらなかった人は子ども扱いなんておかしいし、ぼくなら絶対やりたくない。

・ 私は新聞記事を見て、考えを改めてほしいと思うところがあった。それは、「文化であり伝統だ」のところだ。文化だからこんな悲惨なことをしてもいいのだろうか。ひどいことを伝統として受け継いでいくべきだろうか。大人の女性にも少女の気持ちになって考えてもらいたい。どこから見ても、いけないことだと思う。

・ FGMが28カ国もの国でされていることに驚いた。現在もあることや、毎日6000人の少女が受けていることにも驚いた。しかし、今ではFGMが行われている国からも反対する人が出てきているので、そういう人を応援して、FGMがない日が早く来たらいいなと思う。

・ いい結婚をするためにそこまでするのはおかしい。親がすすめるのもおかしい。切る人が医者というのもおかしいし、美容院の人が切るのもおかしい。尿を我慢している娘のお腹を無理やり押して尿を出さすのもとても痛いと思う。

・ぼくはこんなひどいことがあるなんて思ってもいなかった。やって何の意味があるのか、最初にやった人がバカだと思う。

・ 聞いただけでぞくぞくし、あまり思い出したくない。もし日本にFGMがあったら、私は日本を逃げ出していたかもしれない。痛みを想像できないけど、切除された人がどんなに苦しいのかは感じた。FGMは間違っている。もし日本にあったら、男はたぶん、ほとんどが賛成だと思う(きっとお父さんも)けど、それは痛みを知らないからだと思う。自分が切除を受けたらどんなに痛いか、私も受けてないけど考えてほしい。

・ 切除したって意味はない。世界中のこういうことがなくなり、平和で自由を望んでいる。それと世界中からお金がなくなれば、貧乏とかもなくなると思う。

・ 中国の纏足の勉強と同じで、聞くだけでも痛い感じがした。血まみれになってまで、無理やりされなくてもいいのに。資料の人は裁判で有罪になってもあまり反省してるようには見えなかった。母親たちは、自分もやってるから娘にやってもおかしくないと思ってるのだろうか?

・ 足が小さいかどうかとか、FGMしたかどうかとか、はっきり言って見せかけだけだ。

・ 本時で扱う内容が多かったのでつい焦ってしまい、せっかくの体験談(ティティの告白)を読み深めたり、そこから課題を見つけたりする時間を惜しんでしまった・・・!今、ものすごく反省している。(T-T)

・ 私自身、FGMを初めて知った時は大変ショックだった。子どもたちも、資料に当たる時は終始しかめっ面・・・相当ショックだったようだ。纏足と違って、FGMは今でも広域に行われ、女性自身の支持者も数多い。自分とは関係のない事として無視したり、知らずに過ごすなら、それもまた、人権侵害・FGMを支持するに等しい行為なのではないのか、少女達のために今の自分にできる事なんて何もないかもしれないけれど、自分はここから何を学び、何をめざし、何に立ち向かっていけばいいのか考える・・・それが大切なんじゃないだろうか、そんなことを話して授業を終えた。子どもたちは真剣な瞳でうなずいてくれていた。
 
・ 今、国語科ではマザー・テレサの伝記を勉強しており、インド社会に根付くカースト制度やそこから来る貧しさなどについて、子どもたちは理解を深めてきている。また、先週行った臓器売買の学習でも、その舞台はインドだった。こうした関連からも、「健康とジェンダー」の第3時(次時)では是非、インドの女性の健康被害、人権侵害について学び合いたいと思う。



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