行ってみたい国を紹介しよう (6年:外国語活動)


平成21年度 S市小学校教員外国語活動実践研修会

研究仮説
 外国語を用いて自らの気持ちを伝え合い分かち合う体験を積み重ねれば、
子どもは言語によるコミュニケーションの良さに気付くと共に、分かる喜びや
学ぶ楽しさを実感するのではないだろうか。

仮説へのアプローチ
 言語とは、人と人とが理解し合うためのコミュニケーションのツールである。我々は日々言語を用いて多くの情報を発信し、言語を手がかりに話し手や書き手の意図や考えを想像し、より深い相手理解・内容理解を試みようとしている。すなわち言語によって情報をやりとりし、感情を分かち合い、人との信頼関係を深めている。
 普段使い慣れていない外国語を使用する外国語活動の授業では、児童は言語によるコミュニケーションの難しさと大切さを一層強く感じるだろう。そのため、学習を通して外国語で通じ合ったという満足感を得ることができれば、児童は言語によるコミュニケーションの良さに気付くと共に、感受と表出の連携を感じ、相互理解を深め、分かる喜びや学ぶ楽しさを実感するのではないだろうか。
 授業においては、単に語彙を暗記したり文法を知ったりして言語を使うだけではなく、自らの思いを分かりやすく伝えようとする意欲や、相手の気持ちを注意深く聞き取ろうとする態度の育成を目指したい。教師は児童の「自分の気持ちを伝えたい」「相手の気持ちを理解したい」という欲求を十分に引き出し自覚させるよう、友達とかかわりあって学習できる場を多く持ち、常に自分や相手の気持ちと向き合うことのできる授業を工夫したい。そして、気持ちを言葉にする試みや、自分で文を作り実際に使ってみる体験、相手が言語で表しきれなかったことを想像し尋ねてみる体験など、情緒的なふれあいに基づく言語的コミュニケーションが十分体験できるよう導きたい。

Lesson6「行ってみたい国を紹介しよう」について
  本単元は、世界各地で英語によるコミュニケーションが成り立っていることや、それぞれの国で様々な英語が話されていることを知るのに適した単元である。また、各国に伝わる物語や行事・遺産・動物・食べ物・スポーツ・国旗等を知り、異なる文化への理解を深めると共に、自国の特徴や良さにも改めて気付き、郷土愛を育むにもふさわしい。
 本単元の学習を通して、児童は共通の言語で表現することの良さを知り、気に入った国を見つけ、あるいはいつかは訪ねてみたいなどという希望を持つようにもなるであろう。約4ヶ月後には卒業という大きな転機を控えた彼らにとって、広い世界に目を向け将来の夢や希望を語り合うことは、多様なものの見方や考え方を養う上で意義深い。

指導にあたって
 指導にあたっては、児童が普段から各国の情報に触れる機会を多く設け、国内外への関心を持続させることができるよう心掛けた。また、英語を使うことへの不安感を抑え、他者と積極的にコミュニケーションを図ることができるよう、以下の点に留意した。
 自分の気持ちを進んで発表できるよう、楽しい雰囲気作りに努めた。間違った言い方や曖昧な言い方を否定せず、声を出したことをまず誉めるようにした。
 単元全体や1単位時間の授業の中にListeningとActivitiesをバランスよく組み入れ、表現と理解との一体化を図ると共に、チャンツ等によって授業がテンポよく進むよう心掛けた。
 クラスルームイングリッシュを用いて児童とのコミュニケーションを図り、児童が親近感をもって英語に接することができるようにした。
 ペアワークやグループワークなど学習形態に変化を持たせ、多くの相手と共に基本的な表現に慣れ親しむことができるようにした。
 児童が自信をもって表現し、達成感や成就感を獲得できるよう、学んだ文型や単語を教室内に掲示し、それらを確認しながら活動できるようにした。

目 標
(1) 行ってみたい国やその理由を考えることで、様々な国についての興味・関心を深める。 【言語と文化に関する事項】

(2) 自分の思いがはっきり伝わるように話したり、積極的に友達の話を聞いたりする。【コミュニケーションに関する事項】


指導計画(総時数4時間)


○ 各国の国旗や位置・特徴を知り、外国に興味を持つ。

(言語材料)
"Do you like~?" "How about ~?"
"Do you want to go to~?"
" I want to go to ~."
"Where do you want to go?"
country,America, China, Canada,India,Australia,Italy,Brazil 他

(評価)外国に興味を持ち、楽しく会話したか。


○ 行ってみたい国やその理由について、話されている内容を聞き取る。

(言語材料)
"Why do you want to go?"
"I want to see~." "I want to eat~."
"I want to play ~." "I like~."    pizza,koala,fruits,kangaroo,diamond,pyramid,camel,histry,beach,
castle,desert,tower,soccer,water-sking,swim,
chinese noodles soup・・・

(評価)理由を明らかにして自分の考えを話すことの大切さに気付いたか。


○ 自分が行ってみたい国について話し、国名とその理由の言い方、質問の仕方に親しむ。

(言語材料)
"What country do you like best?"
"Choose the pictures you like."
"When do you want to go?"
"I want to go next month.

(評価)行ってみたい国について話そうとする意欲を持ったか。


○ 自分が行ってみたい国の特徴を紹介し合う。
(言語材料)
"Where do I want to go?"
 close,that's right.,guess・・・

(評価)行ってみたい国の特徴を、はっきりした声で聞き手に分かりやすく伝えたり、友達の行ってみたい国を想像しながら注意深く聞いたりすることができたか。




本時
◆活動1◆ 
 あいさつや簡単な質問をして、聞き取りの構えを付けると共に子ども達の気持ちをほぐすようにした。

Hello, everyone.
How are you,○○?
How's the wether today?
What's the date?
What day of the week is it today?
Let's start today's english.
Today's lesson is ~
Do you want to do?
◆活動2◆ 
 発表で使う表現をチャンツで復習した。

Look,Look,Look at this.
Green white and red.
I want to go to Italy.
In Italy,I want to eat pizza.
I want to play saccor.
Yes,yes,yes,let's go.

A:Where do you want to go?
B:I want to go to ~.

A:Why do you want to go?
B:I want to see~.
I want to eat~.
I want to play ~.
(I like~. I can~.)

 

 
◆活動3◆発表会

2つのコーナーに分かれ、「わくわくカントリークイズ」をした。

・行きたい国
・行きたい理由
・その国の物語
・行事・遺産・動物・食物
・盛んなスポーツ・国旗 
・有名人の肖像    etc
Hello,eveyone.
Look at this.
I want to see~,
I want to eat~,
I want to play~,.
I like~.
Where do I want to go?
Tht's right.(Close.)
I want to go to~.
Thank you.

 
◆活動4◆本時の振り返り
 自己評価カードに反省を書いた後、1人1人発表した。
 いろいろな国の国旗を見ることができた。その国の有名な物なども知ることができて良かった。
 覚えるのに苦労したけど、楽しくできて良かった。また、こういう発表がしたい。
 初めて聞いた国の名前が分かって良かった。いっぱいお客さんがいたけど、大きい声でハキハキ発表できた。
 どこの国にもいろいろな文化や歴史があることが分かって面白かった。
 ベルギーの国旗がドイツに見えたが、実はベルギーだった。
 みんないろいろな国に行きたい理由が分かった。
 その国の有名な物が分かった。
 みんな行きたい国が違っていた。
 みんな上手に発表できていた。
 ちょっと引っかかった所もあったので克服したい。
 質問も、1回だけだけど、全部英語でできた。うれしかった。
 
 

授業後、約50名の会員で研究協議会を行った。
◇ 参観者の意見・感想 ◇
<よかったこと>
 活動が多かったのがよかった。
 一斉→グループなど、形態に変化があったのがよかった。
 教師と児童、児童同士など、関わり合いがよく見えた。
 リズムに乗って発音できていた。
 授業全体のテンポがよかった。子ども達もリスニングに慣れていた。
 自分の考えで、好きな理由が言えていた。思いがたくさん詰まったポスターだった。
 相互評価がよくできていた。
 活動2のチャンツでは発表のための練習がよくできた。
 一人一人がよく活動していて、能力差が見えなかった。
 自分で調べたことを英語で発表でき、みんな達成感が持てたと思う。
 日本について説明した子もいた。日本の良さ・文化を伝える機会にもなったようだ。
 All Englishの授業で、言語環境が良かった。子ども達もよく聞き取って答えていた。
 
<課題>
 活動3で、国旗をシークレットにしておくと、もっと注意深く聞いたかもしれない。
 活動3は、ポスターセッションや、もっと少人数のグループでもよかったかもしれない。
参観して下さったみなさん。指導者は鳴門教育大学の兼重先生。
旅行した際に買い求めた各地の民族衣装。
インド・タイ・ミャンマー・ネパール・ベトナム・中国などの衣装を展示した。
 
分かる喜び・学ぶ楽しさの実感

・日頃からクラスルームイングリッシュを多用・活用されている姿が目に浮かぶ。英語に慣れ親しんでいる6年生の雰囲気がよく分かった。

・興味のあることなので、意欲的に取り組めたと思う。

・意欲的に伝えていた。学ぶ楽しさを実感していたのではないだろうか。

・恥ずかしがらずに英語を話す場の雰囲気が素晴らしいと思った。

・自分達で調べたことをクイズにしていたので、どの児童も伝えようという意欲があった。

・自分の紹介したい国を自分で調べて資料を用意していたので、子どもが自信を持って積極的に話そうとする姿が見受けられた。

・どの子も英語に対して抵抗感を持たず取り組んでいた。

・チャンツがとても効果的に使われていた。一人一人みんな答えていたので素晴らしいと思った。

・掲示も世界の国々に興味を持つことができるよう工夫されていてよかった。

・一人一人がクイズを作り、発表の仕方をこれまでしっかり練習していたので、みんなが自信を持って学習に取り組むことができていた。

・クイズを出す、児童同士で質問し合うという活動が、児童の学ぶ意欲につながったと感じた。お互いのコミュニケーションを楽しんでいるように見えた。日本語でもよかったことで、更にコミュニケーションが盛り上がった。

指導技術

・掲示物が細かく配慮されていたので、周りをよく見て質問している者もいた。

・英語が美しかった。子ども達も聞き取っているのがすごいと思った。

・ほとんどの指示が英語だったのがすごかった。それをきちんと理解している子ども達はもっとすごかった。(私は理解できないものがいくつもあった。情けない・・・。)

・大切なワードが英語で示されていたが、子ども達はそのワードの言い方をしっかりと分かって発表していた。

・黒板に英文の型が示してあって分かりやすかった。子どももそれを手がかりにしていた。

・日頃から先生が英語を聞くこと・話すことに慣れさせておられるなあと思った。天候・季節・月日などとても大切な会話から入られ、本時の活動につなげておられたが、展開がとてもスムーズだった。

・先生の指示がほとんど英語でされていて驚いたのと同時に、自分もスキルアップをしなければと思った。先生の指示・児童の活動・また先生の指示という流れがとてもスムーズでテンポがよく勉強になった。

・先生の英語力に敬意を表します。素晴らしい。その姿勢でずっと指導を継続され、本日の子どもの力が付いてきたのですね。

めあての達成

・一人一人が工夫してポスターにまとめており、他の児童も興味を持ってポスターを見ながらクイズを聞くことができていた。

・身に付けたいセンテンスを全員が意識して発表していた。

・4つ切りの紙をもとに発表したが、国旗はわざと隠して色のみを説明すると、クイズもより盛り上がったと思った。

・伝え手の伝えようとする意志は分かったが、聞き手の方にもう少し話の内容をしっかり聞き取ろうとする態度が見られるともっとよかった。

・子ども達が恥ずかしがらずに堂々と英語を話していたのには驚いた。意欲を持って学習に取り組んでおり、本時の課題を十分達成していたと思う。

・子ども達がよく自分の発表(クイズ)を練習していて、それぞれが意欲的に取り組んでいた。

・会話のパターンを理解し、上手に伝えたり、聞き合ったりしていた。ポスターに写真や絵があるのでその国について知らない子にもよく分かり、コミュニケーションを楽しんでいた。

・チャンツがとても効果的で、どの児童も大きな声で言えていたので、本時で達成すべき課題も分かっていのだと思った。フレーズを自信を持って言えたことが、友達にクイズを出したいという思いにつながったと思う。

・一人一人が英語でがんばって説明していた。

その他

・ 先生が児童の側で支援されている姿が印象的だった。発音もとてもきれいで、授業を受けている子ども達は幸せだなと思った。

・先生の、大会議室に飾られた衣装は、他学年の子ども達も興味津々だった。

・教室環境がすばらしかった。子ども達があんなに積極的に英語を話す姿を見てびっくりした。

・とてもすばらしい授業だった。素晴らし過ぎて他の先生方があきらめムードにならないか心配。

・インフルエンザが流行している中、素晴らしい授業を提案していただきありがとうございました。

・〜君が発表する時、先生が隣でアドバイスされていたのが印象的だった。

・時間が全て予定通りに進んでいたので驚いた。

・ 準備等、まわりの掲示物も含めてとてもよくされていた。英語でどんどん指示を出されていて、子ども達もそれに合わせて動いていてすごいと思った。
 
・一人一人が発表のカードを持ちshow&tellで発表できたことが、苦手な児童の手助けになっていたのかなと感じた。教室の環境もとてもよかった。海外の物がいろいろ置いてあり、児童の意欲が高まったと思う。

 


考  察

 自己評価カードや事後の日記などの中には、これまで知らなかった国々への理解や関心が、学習の喜びと共に記されていた。本単元の第一のねらいである様々な国についての興味・関心は、十分伸ばすことができたと思う。自分で調べ、まとめ、発表するという活動をこなした自信からか、本単元だけでなく社会科や音楽・国語などの中でも、これまでとは違った目で世界を見る力が養われたように思う。児童はこれまで以上に親しみのある目で、世界の国々や、そこに住む人々の暮らしや考えを捉えることができるようになった。
 
 また本時では、自分の思いがはっきり伝わるように話すというねらいも達成できた。自己評価や活動中の表情に、既習の表現を使って適切に表現できた喜びがよく表れていた。
 英語ノートによる外国語活動が始まったばかりの1学期当初は、CDを聞いても習った単語やフレーズがなかなか聞き取れず、ややもすると苦手意識を持ってしまいそうになった児童もいたが、繰り返し聞いたり話したりすることで英語に慣れ、今では積極的に発音を真似たり、自分の表現したい内容を英語でどのように言えばよいのか尋ねてくるようにもなった。思いを伝えたいという気持ちがよく育ったと言える。児童の順応力には驚くばかりである。
 
 参観者の気付きにもあったのだが、他教科で目立ちがちな能力差が、話す・聞くを中心とする外国語活動ではあまり目立たない。声を出す・表現をするということは、とても自信を付けるものだと改めて思う。
 
 英語が人と人とのコミュニケーションを成立させる一つの重要な手段であることについても、児童は十分意識することができたと思う。授業後2ヶ月以上経っても、日常生活のちょっとした場面で、チャンツで覚えたフレーズを口ずさんだり、日常会話の途中で英語を挟んでみたりする児童がいる。少なからず英語を好きになったのではないかと思う。


今後の課題

 友達の発表を聞く場面において、友達の話を目を見てうなずきながら聞く児童もいたが、話を最後まで聞かずに発言したり、クイズの答えをわざと間違えたりする児童がいた。各自が追求していた国が前時までの活動で互いに分かってしまっており、クイズがクイズとして成立しなかったことが、大きな原因の一つである。発表の準備の仕方に再考の余地がある。また、外国語活動に限らないが、生活や学習全てにおいて、他者との関わり方や発表の聞き方を考えさせることは、今後も追究し続けたい課題である。

 最後に、今切実に思うのは、教師自身が英語を使って気持ちを表現することを敬遠しないようにしたいということである。覚えた英語を、少しずつでも積極的に使い、自分のものにしていきたい。指導者としてだけではなく一人の学習者として、これからも努力を厭わず謙虚な気持ちで学び続けていきたいと思う。



授業の後、若い先生方が数人お手紙を下さった。参考になる授業ができたのかもね・・・と少し嬉しい気がした。




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